「認知症」を知っていますか?
誰もが発症する可能性がある脳の病気で、日本の有病率は先進国トップの2・33%(※1)と、平均の1・48%を大きく上回っています。
認知症は、何らかの病気や障害などのさまざまな原因によって、記憶や判断などを行う脳の機能が低下し、日常生活などに支障をきたす状態です。
三田市においても発症者は増加傾向にあり、市内認知症高齢者は令和7年中に2,900人(※2)を超えると想定しています。加齢により発症リスクは高まりますが、予防策や発症後の段階的な対応などを知ることで、「認知症」への不安が軽減され、適切な気づきや対応につながります。
今回の特集では、「よく知らないから不安」と恐れるのではなく、誰もが発症する可能性がある病気だからこそ、予防策や本人および家族などの対応について「知る」ことを紹介します。
認知症による孤立を生まないために―地域が認知症と向き合う社会への第一歩として付き合っていく方法を考えましょう。
※1:経済協力開発機構が2017年に公表した医療に関する報告書
※2:2019年9月時点の性・年齢階層別の要支援・要介護者認定者に占める医師意見書の認知症自立度II以上の割合を元に推計
■DATA
▽運動など生活の変化が認知症予防に
神戸大学が65歳以上の丹波市在住高齢者に行った実験。(1)運動や生活習慣の管理、社会交流などを行う「介入群」と、(2)(1)のようなことを行わない「対象群」の2グループを各100人に分け、集中力・注意力・反応速度のスコアを比較した表です(丹波市での認知症予防研究/J-MINT PRIME Tamba 2022年)。いずれも18カ月後、予防による効果が表れています。
▽集中力の比較
▽注意力の比較
▽反応速度の比較
■INTERVIEW 古和久朋(こわひさとも)さん 神戸大学大学院教授
65歳以上の4人に1人が発症する認知症。研究結果では、運動や生活習慣の管理、社会交流などを全て行うことで予防効果が実証されています。
認知症予防は、各年代によって対策が異なります。20代前半では、「勉強量や頭を使った時間」が重要です。脳をより多く使った人のほうが認知症のリスクが低いと言われています。また、40~50代では、「毎年の健診」が重要。認知症の原因となる高血圧や糖尿病を早期発見し、治療することでリスクが減ります。また、塩分摂取量を減らすなど、食生活の見直しが必要な年代でもあります。さらに、毎日1駅分多めに歩くなどの運動習慣も身につけましょう。高齢者は、1回50分の有酸素運動を週3日行うことで、認知症予防に効果があります。
認知症を正しく理解することで予防などの対策が行えます。「自分は大丈夫」と決めつけるのではなく、「今」できることを積み重ねていくことが発症のリスクを下げることにつながります。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>