■地域に広がる認知症カフェ
厚生労働省は、2025年に認知症高齢者が約700万人に達すると推計しています。これは高齢者の約5人に1人が認知症ということになります。
長寿化が進む現代では、認知症は誰もがなり得るものです。認知症と共に生きる時代となりつつあります。
認知症になっても住み慣れた環境で安心して生活ができるよう、さまざまな支援が進められています。
その一つ、認知症カフェには、認知症に対する理解を広める役割と認知症の方や家族への支援が期待されています。
■気になる 認知症カフェってどんなところ?
○交流
参加者同士、話に花を咲かせながら楽しく交流します。
○相談
認知症の方や家族、専門職などに悩みや不安を相談でき、孤立感を軽減します。
○レクリエーション
音楽、手工芸、ゲームなど、誰でも楽しめる活動をし、心身をリフレッシュします。
○ティータイム
お茶しに来るだけでもOK。リラックスできて、居心地のいい居場所になります。
■オレンジカフェ加須ひばりの里
NPO法人 ひばりの里ネットワーク 理事長 近藤るみ子さん
オレンジカフェ加須ひばりの里では、お茶とお菓子を楽しみながら会話し、落ち着いた雰囲気でゆったり過ごすことができます。ひばりの里ネットワークでは、介護サービスや障害福祉サービスも提供し、こどもから高齢者まで幅広く支援している観点から、多角的に参加者のお手伝いができることもあります。
介護している家族の負担は大きく、1人で溜め込まずに吐き出す場所が必要です。これまでの経験から、特に男性は悩みや不安を1人で抱え込み、孤立しやすいように感じます。
健康な人でも、もしかしたら家族が、自分が認知症になるときがくるかもしれません。いざというときのために認知症のことを理解して備えておくことが大切です。認知症があってもなくても、共に生きる社会を実現していくためには、認知症カフェのように誰でも気ままに集まれる場所が必要です。この場所が、認知症のことをもっと知ってもらい、互いに協力しながら共生社会を作っていくきっかけになればいいですね。
まずはどなたでも気軽に参加してほしいです。年齢も性別も住まいも問いません。経験豊富なケアマネージャーやケアスタッフがお待ちしています。
○参加者の声
ここで過ごす時間は楽しく、笑顔になれます。
■agrio café(アグリオカフェ)
合同会社グッドワーク 代表 太野貴弘さん
agrio caféは7月から始めました。agrioはスペイン語で柑橘類を意味します。オレンジは日本の認知症支援のシンボルカラーですが、認知症に限定せず、広く参加してほしいという思いから柑橘類を選びました。
若年層に参加してほしいことと、おいしいカフェで認知症カフェを開催したいと考え、市内カフェ店と交渉し、スペースの一角を貸し切りさせていただいています。一般のお客さんがいないため、プライバシーも守られ、おいしい飲み物も楽しめると参加者には好評です。
参加者の中には仕事をしながら介護をしている方もいます。参加してくれた方の話を聴く中で、ケアマネージャーの資格とこれまでの高齢者支援の経験を生かし、必要な機関につなげることもあります。参加者の話をよく受け止め、心晴れやかに帰宅してもらうことを心掛けています。
市内にはさまざまな認知症カフェがあります。その中で、自分に合ったカフェを見つけてほしいですね。
そして、カフェ参加者同士が自主的に新たなカフェを作るなど、認知症の支援の輪が広がってほしいです。
○参加者の声
毎回、会話に夢中になり、時間を忘れてしまいます。
■つくろうカフェ
みんなのちから いいね倶楽部 代表 戸ケ崎智子さん
みんなの「あいうえお」
「あ」あいさつする
「い」いばらない
「う」うわさ話をしない
「え」えがおを忘れない
「お」おこらない
つくろうカフェでの合言葉です。
カフェには、認知症の方、ひとり暮らしの方、いろいろな方が参加し、得意なこと、できることを生かして互いに支え合っています。
少ないときで6人、多いときで13人がカフェを訪れ、工作やお茶会など気ままに過ごします。市内循環バスを利用しての外出など、イベントもさまざまです。
「誰にも気を遣う必要なく、素の自分で過ごして、楽しんでもらえるカフェであり続けたい」。スタッフ全員の思いです。
また、チームオレンジの認定を受けたので、これまで以上に認知症への理解を深め、認知症の方もその家族も、強力にサポートしていけるような体制を整え、安心して参加できるカフェを運営できたらいいなと思っています。
○参加者の声
毎回楽しみで、休まず参加しています。
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