◆DV被害者の声
DVとは、どのようなものでしょうか。具体的な事例を見ていきます。
※実際にあった相談から、一部の設定や内容を修正しています
■大声で怒鳴る 性的な行為を強要する
相談者:Aさん32歳女性 子ども1人
元々気性が荒く、威圧的で男尊女卑の考えを持つ夫。大声で怒鳴ったり、物を投げたり、また無理やりポルノ雑誌を見せたり、性行為を迫ったりしてくる人です。
ある日私が作った食事がまずいと怒り、私に家から出ていくよう要求。私は子どもを連れて友人宅に身を寄せました。一連の相談をすると「それはDVに当たる」と言われ、初めてDVを受けていると気付きました。でも夫から離れたくても私は主婦なので収入もなく離れることができません。
⇒無理やり性的な行為を行うことはDV(性的)、大声で怒鳴る、暴言を吐く行為もDV(精神的)です
■「言うことを聞かないと離婚」「誰のおかげで生活している」
相談者:Bさん40歳男性 子ども2人
妻の暴力的な言動にいつも悩んでいます。ことあるごとに妻は私に「役立たずなあなたのせいでこんな生活に。言うことを聞かないと離婚だ」と脅してきます。また「誰のおかげで生活できているんだ」などと、家庭で絶対的な権力を持っているような言動を繰り返し、子どもの前でも暴言を吐きます。
一方で話し合いの途中で、泣いたり、「死んでしまいたい」と言ったりして、私も悪かったのかと罪悪感があります。
⇒相手を脅す、恐れさせる発言はDV(精神的)、「誰のおかげで生活している」という発言もDV(経済的)です
※子どもの前での暴言は面前DVに当たり児童虐待の一つです(下記)
■通帳を取り上げ生活費を渡さない
相談者:Cさん30歳女性
元夫は怒ると物に当たり、暴力を振るう人。あるとき、ささいなことから激高し、顔面を殴ってきました。また私が管理していた家計の通帳を取り上げた上、生活費を月に2万~3万円しか渡さないようになりました。
彼の反応が怖くて、自分の意見を言うことができません。
⇒必要な生活費を渡さないこともDV(経済的)です
■「浮気していたんじゃないか」外出や電話を常に監視
相談者:Dさん29歳女性 子ども2人
昔から暴力はあったのですが、優しいときもあり、信じたいという気持ちが強かったです。でも元夫が病気で仕事を辞めた頃から暴力がエスカレート。
「浮気していたんじゃないか」と、仕事中も行動を監視され、私は1人で出歩くことも、携帯電話を持つことも禁止。子どものためにも離婚をせず、「いつか変わってくれるのでは」との思いから、さまざまな暴力に耐えてきました。
⇒行動を制限することもDV(社会的)です
[check1]子どもを巻き込んだDV
DVが起きている家庭では、子どもへの暴力も同時に行われる場合があります。子どもが直接暴力を受けている場合は当然ですが、子どもの前で配偶者や家族に対して暴力を振るうこと(面前DV)は心理的虐待です。またDV被害者は恐怖心などから、子どもへの暴力を制止できなくなり、家族の信頼関係が崩れることもあります。
事例:面前DV(子どもへの心理的虐待)
[check2]交際中の相手からの暴力もDV
DVと聞くと「家庭内の配偶者(元配偶者)」からの暴力と考えがちですが、「事実婚や交際中のパートナー」からの暴力もDVです。いずれも身近な相手を支配するために暴力が使われる構造に変わりなく、人権侵害の一つです。
事例:デートDV(交際中のパートナーからの暴力)
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