■痕毎年生え変わる角を研ぐ
霧島山でハイキングをしているとたくさんの発見があります。登山道沿いにはたくさんの花、昆虫、きのこ、哺乳類。特にえびの高原周辺では、アカマツが目立ちますが、そこに異変を発見しました。樹皮がぼろぼろに剥がれていました。かなり強い力です。大型の生物を想像しますが、クマの生息していない霧島山では、シカくらいしかいません。これはオスのシカが角を研いだ痕なのです。
秋の終わりまでにオスジカの角は伸びます。伸びている最中は膜状のものに包まれていて、それを剥がすために角を研ぐと言われています。
秋の繁殖期に縄張り争いのために生えた立派な角。折れてしまっても春には自然に落ち、また新しい角に生え変わります。あの大きな角が毎年生え変わるのは驚きですが、我々にとっては森の中で落ちた角との出会いという素晴らしいサプライズになります。
冬の静かな森の中、シカたちは、変わらずたくましく生きています。
文:えびのエコミュージアムセンター
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