■前立腺がんについて
前立腺がんは、前立腺肥大症とともに、中高年の男性において注意すべき前立腺の病気です。加齢とともに増加する男性の病気という点では共通していますが、発生する場所も性質も異なります。この病気の多くは、尿道や膀胱から離れた場所に発生するため、初期には無症状のことが多く、進行が比較的ゆっくりであることが特徴です。また、男性のがんの中で、患者数が毎年増加しており、2019年には男性のがんの中では罹患(りかん)数が1位になりました。
この病気が増加している理由として、高脂肪食など生活習慣の欧米化、社会の高齢化などが考えられています。さらに、診断技術の向上と検診などの普及により、早期から前立腺がんを発見することができるようになったことも一因と言われています。
しかし前立腺がんは、自覚症状がほとんど無いために発見が遅れることが多い病気です。自覚症状が出てから発見される約40%は進行がんである一方、検診で発見された約60%は早期がんだったという研究結果もあり、前立腺がんの治療を効果的に行うためには症状が出る前にがんを早期発見することが非常に大切です。そのためには検診などで定期的にPSA検査(採血)を受けることが重要です。
前立腺がんには、手術、放射線療法、内分泌療法などさまざまな治療法があり、病状に応じてこれらの治療を単独あるいは組み合わせて行います。
治療については、主治医と相談の上、適切な治療法を選択することになりますが、いずれの治療を選択しても、比較的良好な予後が期待できるとされています。
これらのことから、前立腺がんは早期発見し、適切な治療を行うことで根治可能な病気であり、早期発見に向けて検診を受けることが非常に大事になります。
岩国市では、50歳以上の男性で前年度に前立腺がん検診を受けていない人が検診対象となっています。検診票が届きましたら、がんの早期発見・早期治療ができるように検診を受けましょう。
〔岩国市医師会〕
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