■おめでとう。クラウディア・ゴールディン教授
今年も10月にノーベル賞が授与されました。
今年の受賞者は6部門で11人ですが、私が特に興味深く感じた方が、経済学賞を受賞したクラウディア・ゴールディン教授です。
彼女は、米ハーバード大学の経済学の教授で、長年、「労働経済学」という分野で研究をされています。
いま、世界中で、男女間の不平等、特に労働界における賃金をはじめとする処遇の不平等が大きな問題となっています。
彼女は、この問題の根源がどこにあるのかを、ずっと研究し、歴史を紐解きながら分析した成果を発表してきた方(著書『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』慶應義塾大学出版会)で、実は、私も注目していました。
専門的なことまでは詳しくわかりませんが、平たく言えば「現在の、特に先進国における労働報酬の格差は、職務に専念する時間の長さと深さ、そして、それに基づく成果に大きく左右される、という仮説に基づき、一般論として出産して育児に携わることが多い女性は、高額な報酬を受ける要件を満たす状態にない場合が多い。
一方で、男性は、男女平等とは言いつつも、まだまだ育児・家事などを女性に押しつけて仕事に専念している場合が多い。
この違いが、男女間の賃金格差につながっている」という考え方です。
言われてみれば、たしかにそのように思います。
そして、その視点に立つと、女性のスキルアップなどによる地位向上も大事ですが、もっと大事なのは、育児や家事を、しっかりと男女で共同する仕組みを作って実践することであり、それこそが、労働市場における男女間の格差是正、あるいは、社会における男女の真の平等を実現するための早道であるように思います。
花田憲彦(はなだのりひこ)町長
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