■やっぱり、飯豊で幸せになる ~持続可能なまちづくり~
令和6年度 施政方針(要旨)
町長 後藤幸平
令和6年2月18日町民総合センターで開催された飯豊学講座において、山形県立博物館学芸員の長澤一雄先生から、飯豊町の地質・地史的な生い立ちや化石についてご講演いただきました。大江町、最上川河床から発見されたヤマガタダイカイギュウの標本模型を手に取ってみて格別な想像力を掻き立てられました。今から約900万年前に、このあたりが海だったころ生息していたカイギュウの化石です。当然のことながら飯豊でも発見される可能性があり、私たちの目の前に現れていないだけだといいます。
太古の時代から現代までの悠久の時の流れの中で、とくに近代から現代までの社会の変化は、人口の増加、モノやエネルギーの消費、産業の生産性向上、食料生産、飛躍的な情報化社会の到来、生活様式の変化などとてつもない激動の時代であったことを疑う人はおりません。とりわけ戦中戦後からの20世紀は、変貌の世紀として振り返る必要があります。自由貿易を基軸とする活発な経済活動そのものが成長の指標となり、その強弱が生活の質や人々の心さえ左右する社会、そこで得た豊かさは暮らしを劇的に変えました。しかし、それとひきかえに失ったものはないのか、立ち止まって見直す時です。相手の躓きは権益拡大の機会であっても、自己を含めた共通の損失とは気づかないままでいます。その結果、分断と不寛容がまかり通る社会になっているのではないでしょうか。
進化の頂点にたつ人間であればこそ、無益な争いのジレンマから脱却し、共生と連帯、力を合わせ共に創り上げる社会を描くことです。恐竜はなぜ絶滅したのでしょうか、太古からの進化の足跡をなぞりつつ、パンとサーカスに埋没するのではなくて、持続可能な社会創造に向けて困難な課題に立ち向かいチャレンジすることが求められています。いまこそ地方は人口減少を食い止め、農村が本来持っている資源循環型の力をフルに活用して、ゼロカーボン社会実現とSDGs型社会の構築に向けて動かなければならない。そう思います。
道がなければ道を切り開く、未開の原野にこそ未知の可能性が潜んでいる、次世代の可能性は人材の育成にかかっている、人材の育成は若者が学び舎に集まることによって成り立つ、寛容と支え合いの社会、科学や芸術文化、交流、出会いが人々を勇気づける社会、そんな社会形成のために頑張りたい。新年度の飯豊町はまちづくりの原点に立ち返って歩みます。
※SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です
「施政方針」と「主な事業の概要と予算額」は、町のホームページでご覧いただけます
<この記事についてアンケートにご協力ください。>