■第3回 相談に行こう、婦人科
~私の生理って“ふつう”? 月経異常にひそむリスクとは?!
プレコンセプションケア(プレコン)連載第3回目のテーマは月経(生理)についてです。
◇月経について
女性にはなぜ月経があるのでしょうか?月経は将来の妊娠に向けて必要な、子宮の変化です。妊娠するときには、ホルモンの変化によって排卵(卵巣から成熟した卵子が飛び出す)→受精(精子と卵子が結びつく)→着床(受精卵が子宮内膜に生着する)という過程がおこります。受精した卵(受精卵)が着床するために子宮内膜は分厚くなって準備しますが、妊娠しないと子宮内膜ははがれ落ち、月経がおきます。“ふつうの”月経は、周期(月経開始日から次の月経が来るまでの日)が28~35日で、およそ1週間で止まり、月経量や症状で生活に支障が出ません。(注1)
◇月経の症状
月経について困っている症状はありませんか?月経の症状には婦人科の病気がひそんでいる可能性があります。症状別にみていきましょう。
1.生理不順、生理が来ない(月経周期の異常)
皆さんは毎月の月経がいつ来るか、予想できますか?月経が急に来なくなった場合や、月経周期がばらばらな場合には排卵していない可能性があります。月経開始後数年は周期が安定しないことも多いですが、月経不順が続くと不妊や将来の子宮体がんのリスクとなります。
2.月経前のこころや身体の不調(月経前症候群)
月経前の時期になると、気分の落ち込みやイライラ、腹痛・頭痛などで調子が悪くなるけれど、月経が来ると症状がやわらぐ方はいませんか?実は、月経前症候群という病気かもしれません。
3.月経中の不調1(月経困難症)
月経痛が強すぎて学校や仕事を休んだことがある方はいますか?月経中に生活に支障が出るような腹痛、腰痛などの症状がある方は月経困難症という病気です。ひどい月経痛は、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気が原因となっている場合があります。
4.月経中の不調2(過多月経)
出血量が多くて困っている方はいますか?塊が出たりナプキンを頻繁に交換しないといけない場合は、過多月経かもしれません。健康診断で貧血といわれたことがある方は特に注意が必要です。過多月経も、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症などの病気が原因となっている場合があります。
子宮筋腫や子宮内膜症は不妊や妊娠中のトラブルの原因となる場合があり、将来の妊娠のためにもこれらの病気がないか知っておくことは大切です。
◇対処方法
では、どのように対処したらよいでしょうか?基本は婦人科での相談です。
1.妊娠を希望されている方
月経に関わる症状があってもなくても、まず婦人科へ。子宮筋腫や子宮内膜症は、妊娠前に治療したほうが良い場合があります。
2.月経に関わる症状で困っているけれど、すぐに妊娠を希望していない方
すぐに婦人科を受診してください。治療が必要な病気が見つかるかもしれません。生活に支障が出ているようなら、漢方やホルモン剤(ピルなど)で、症状を和らげて“生理とうまく付き合っていく”方法を一緒に考えることもできます。
3.月経に関わる症状はあっても困らない程度ですぐに妊娠を希望しない方
定期的に婦人科で子宮頸がん検査を受けて、月経に関わる症状が強くなってきたら、婦人科医に相談してください。
◇最後に
働く女性の半数以上が月経に関わる症状で仕事のパフォーマンスが落ち(注2)、月経関連の経済的損失は年間約6,828億円(注3)という報告もあります。月経に関わる問題は、社会全体の問題ともいえるのです。20~40代の女性だけでなく、生理で悩んでいる中・高校生の皆さんもぜひ婦人科に相談してください。また、区のプレコン相談窓口もぜひご利用ください!
◇参考文献
(注1)荒田尚子,三戸麻子ら.プレコンセプションケア.株式会社メジカルビュー社.2024.4
(注2)Tanaka,E.,etal.BurdenofmenstrualsymptomsinJapanesewomen:resultsfromasurvey-basedstudy.Journalofmedicaleconomics,16(11),1255–1266.2013.
(注3)働く女性の健康増進調査に関する調査2018日本医療政策機構2018年3月【URL】https://hgpi.org/wp-content/uploads/1b0a5e05061baa3441756a25b2a4786c.pdf別ウィンドウで開きます
<この記事についてアンケートにご協力ください。>