コツをつかむ、腕をつかむ
流れをつかむ、心をつかむ
「つかむ」と一言に言っても
文脈にある言葉で
意味が変わります。
「つかむ」の英語「キャッチ」は
「魚を釣りあげる」という
意味も持っています。
今月号の巻頭記事では、
夢をつかんだ、キャッチした
一人の男性に迫っていきます。
■バスフィッシングプロアングラー 梶原 智寛(Tomohiro Kajihara)
〔梶原智寛さんプロフィール〕
宮若西中学校出身、鞍手竜徳高校を卒業後、
バスフィッシングのプロとして活躍中。
市内在住。現在24歳。
◇日本一への道のり
昨年の10月15日、バス釣りのトッププロが集う大会の、年間チャンピオンとなった梶原智寛さん。過去に広報紙でも取り上げたことがある彼は、バス釣りのプロとして活動を始めて、約七年という早さで日本一に輝きました。九州在住で年間チャンピオンになったのは、梶原さんが初めてです。
バス釣りの大会は一日で終わるものもあれば、数日かけて争うものもあり、釣りあげたブラックバスの総重量で順位を競います。梶原さんは、プロの中でも上位五十人が競う大会の、第一線で活躍しています。
その大会は一年間を通して計五回行われ、各回の順位をポイントに換算。年間の合計ポイントが一番多い人が、年間チャンピオンになる仕組みです。梶原さんは、日本のバス釣り最高峰と言えるこの大会に出場して、わずか二年で日本一に輝きました。
◇物語のはじまり
「初めて釣りをしたのは三歳の時。家族で海釣りに行き、小さいアジがたくさん釣れたのですが、釣れた喜びとその感触が忘れられなくて。
それからも毎週のように海釣りに連れて行ってもらっていたのですが、もっと釣りがしたくてしょうがなくて、小学四年生の頃からバス釣りを始めました。始めた頃はもちろん下手で。ただ、バス釣りのおもしろさに魅了され、近くの犬鳴川に通いつめていました。
大会へ出場し始めたのは、中学二年生の時。その時から『バスプロになって日本一になるんだ』と、思っていました。高校一年生の時に、プロ登録の登竜門と言われる大会で、優勝しました。この優勝が自信につながりましたね。
十八歳でプロとして活動するようになり、いろんな大会に出場し、負けては悔しさをバネに、どうしたら強くなれるのかを常に考えていました。その積み重ねが、今回の年間チャンピオンにつながったんだと思います」。
◇日本一から見えた景色
「正直、日本一の実感がないのが本音です。約二年前に広報で夢を語った日から、最低五年はかかると思っていましたが、こんなにも早く夢をかなえられて、自分でもびっくりしています。ただ、実感がないからこそ、まだ上に行ける気がして。バス釣りの本場はアメリカなので、アメリカ行きも考えていたりしていますね。
好きなことを職業にするのはすごく大変でしたが、バス釣りのプロとして生計を立てることができ、うれしいです。そのおかげでしっかりと活動ができています」。
◇バス釣りって運で決まる?
「『バス釣りって運じゃない?』って言われることが多いんですけど実は違うんですよ。実力と経験が物を言う競技なんです。
例えば、水面の状況や気温などに応じて、使う道具を変えたり、戦術を変えたり。これまでの経験があってこそできることなんです。これは、どの競技も一緒だと思います。だから、応援してくれる人がいると力になるし、頑張ることができます。僕を含め、夢を目指して頑張っている人を応援してくれると、うれしいですね」。
◇忘れない感謝の気持ち
「二十一歳ぐらいまで、いつも応援してくれて、働かせてくれた地元のアルバイト先や、僕の活動をサポートしてくれる家族・友人のおかげでここまでこれました。
バス釣りも本格的にプロを目指して競技するには、ボートや釣り具などの装備が必要で、自分一人じゃできないことって多いんですよね。周りの協力があってこそなんです。だからこそ、これからも感謝の気持ちを忘れずに、日本一の次は世界一になって、恩返しをしたいですね」。
◇夢をかなえるには諦めない心が大切
最後に梶原さんは、夢をつかもうとする人に向けて、こう話してくれました。
「まず、夢を絶対にかなえるという意志を強く持つこと。そして、誰よりも努力すること。この二つは、僕が常に意識していることで、どんな夢であれ、かなえるためには絶対に必要だと思います。この二つの意識があったからこそ、今があります。
僕は、バスプロになるという夢を小学四年生の時から持っていて、どんなに悔しい思いをしても、一度も諦めたことはありませんでした。なぜなら、バスフィッシングは僕の天職だと思って信じてきたからです。
夢を目指す中で、壁にぶつかり、上には上がいると痛感させられる日や、周りからのプレッシャーに押しつぶされそうになる日もあるかもしれません。しかし、誰よりも努力し、夢をかなえるという意志を強く持つことで、きっと乗り越えられるはずです。僕はそうやって乗り越えてきました。諦めなければ、きっとあなたもできるはずです。
夢をかなえるまで大変かもしれませんが、かなえた時にそれまでの時間がすごく楽しかったなと思えるし、新たな目標もきっと生まれると思います。夢を諦めず、頑張ってほしいですね。夢をつかむために頑張るあなたを、僕は全力で応援します」。
1回目の取材では、大人ばかりの大会で最年少優勝を果たし、プロを目指すアマチュア選手だった梶原さん。2回目の取材では、既にプロとして活躍し、プロが競う大会で当時21歳という若さで優勝。3回目のトッププロが集う大会で、優勝したときの取材に対して、「次の目標は、ツアーの年間チャンピオンです」と、話していました。
輝くふるさと宮若から
夢をつかんだ梶原さん。
そのつかんだ手が
次は誰かの道しるべとなり
新たなきらびとが生まれます。
宮若生活ではこれからも
きらびとたちを紹介し、
皆さんの心をつかむ
広報紙をお届けします。
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