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特集 ものづくりを極める~鹿嶋発クラフトビールができるまで~2

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茨城県鹿嶋市

■オーガニックへの思い
オーガニックとは、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、土壌の持つ力を活かして環境への負荷をできる限り少なくする農法です。オーガニックの基準には、自然栽培も含まれています。
世界のオーガニック市場は、約17兆円で欧米が約85%を占めています。人口でいうと7億人規模です。日本でのオーガニック市場は1%のみに留まっています。私が自然栽培を始めた2008年は、日本でオーガニックの畑は全体の0.2%で、16年経った今でもその規模はほぼ変化しておらず、需要が全く増えていない状況を私自身も肌で感じています。日本は農薬使用量世界3位で、中国は32位です。オーガニックの面積では、中国は日本の202倍もの面積があります。今後、日本のオーガニック市場は増えていくと思いますが、食への意識を変えるためには、現況を正しく見据え、子どもも大人も食育から始めていかなければいけないと感じています。効果が出るまでには10年以上の月日がかかりますが、なぜオーガニックなのか、オーガニックを買うことで社会的にどういったインパクトがあるかという背景を知っていく必要があると思っています。16年やって何も変わらない日本では感じられないオーガニックへの手ごたえを肌で感じたいという思いから、欧米へビールを輸出するため、1月にオーガニックの認証を取得し、2月中旬に世界最大のオーガニック見本市であるドイツ「BIOFACH(ビオファ)」に茨城県で唯一出展しました。想像以上にオーガニックへの関心が高く、商談の際は、皆さんが当たり前のようにその価値を認めオーガニックを買うことで世界を変えようという意志が感じられました。
海外産の麦芽(ビール原料の98%は麦芽、2%がホップ)を使って醸造するのが当たり前の業界において、国産オーガニック麦芽を使用したオーガニックビールは「Paradise Beer Factory」が日本唯一の醸造所となります。今回初出展にもかかわらず、その価値を認めていただき、ドイツ、イギリス、フランスへビールだけでなく、味噌、醤油、ジェラートなどの輸出も決まりました。世界の人にこの鹿嶋の大地から育ったおいしくて、環境にも良いものを食べてもらう機会を得たことはとても嬉しく光栄なことで、オーガニックのものをあえて選び、購入するアクションの大切さ、その勢いを日本へ持ち込めたら良いと思っています。

■こだわりのビール
現在、醸造所では8種類のビール(上記写真※写真は本紙参照)を製造しています。
今回の「G7(主要7カ国)茨城水戸内務・安全担当大臣会合」の歓迎レセプションで各国大使館70人の投票で見事に1位を獲得したのは、「SESSION IPA(セッション アイピーエー)(写真右から2番目※写真は本紙参照)」です。柑橘系のアロマホップが効いた爽やかな後味が特徴です。ビールの醸造を始めて2年目には、「Saison 弥栄(セゾン いやさか)(写真左から3番目※写真は本紙参照)」が、世界3大ビール審査会の1つである「インターナショナル・ビアカップ2018」で銀賞を受賞しました。
ビールの味はそれぞれ個性がありますが、どれも堆肥や肥料由来の雑味がなく、自然本来の旨味が持ち味です。主原料の麦芽以外の原料であるコリアンダーシードやオレンジピール、山椒なども自然栽培で育てたものを使っています。また、仕込みに使用する水も、硬度95でビールの醸造に適している鹿島神宮境内の湧き水を使用しています。

■今後の目標
約2000年前の中国の歴史書「漢書」に酒は「百薬の長」と記されています。その時代は肥料や農薬はなく自然栽培で野菜を作っていたはずです。その時代のような「現代の百薬の長」となる環境への負担が少ないビールを作りたいです。
私の最終的な目標は、「おいしくて、心地良くて、身体にも良くて、地球にも良い」というものづくりを通してこの世をパラダイスにすることです。自然栽培の商品を買ってもらえればもらうほど、自然栽培の田畑が増えることになり、持続的な社会や経済の循環につながっていきます。「これはやめなさい、これは環境にも身体に良いから食べなさい」という我慢や強制が蔓延する社会はとても退屈で居心地が悪いものです。そうではなく私は、煩悩全開でも持続的な社会や経済がまわる仕組みを実現可能にするための社会実験をしている感覚でやっています。
今、私ができることは素材の良いものをつくり、世界中の方々に届け、喜んでもらうことです。そこにはものの見せ方、伝え方、売り方などマーケティングも大事な要素となります。ものづくりのストーリーを伝えていくことは簡単ではないですが、ちゃんとストーリーを伝え続けて、この世をパラダイスにするという使命感を持ちながら、これからも自然栽培でのものづくりに取り組んでいきます。

■Paradise Beer Factory
クラフトビールの醸造所に併設するレストランでは、ビールのほか自然栽培の自家製野菜を使った料理を提供しています。

鹿嶋市宮中1丁目5番1号
◇営業時間
LUNCH 11:30~16:00
DINNER 18:00~21:00(土曜日のみ)
SHOP 11:30~21:00

◇定休日
月・火・水曜日(祝日の場合、ランチタイムのみ営業、翌日休業。
その他、農作業のため臨時休業あり)

◇電話
77-8745

■Paradice Gelato and Donuts
自家製自然栽培の大豆や小麦を使った無添加のジェラートやドーナツを提供するテイクアウトのお店です。

鹿嶋市宮中1丁目9番31号
◇営業時間
金曜日 13:00~18:00
土・日・祝日 10:30~17:00

◇電話
88-1810
※インターネット販売や受注販売も行っています。

クラフトビールとジェラートは、鹿嶋市のふるさと納税返礼品として取り扱っています。市外の方は、ふるさと納税を活用してぜひご賞味ください。詳細は、QRコード(QRコードは本紙参照)からご確認ください。

※詳細は本紙をご覧ください。

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