中学校の部活動は、生徒がスポーツや芸術・文化活動に親しむ機会や、異なる学年集団の中で社会性を培い、責任感や自己肯定感を育てるなど多様な学びを得られる場となっています。子供たちが中学校生活の中で楽しみにしていることのひとつが部活動です。
令和4年12月に、国から中学校の部活動を「地域移行」させていく方針が示され、部活動が今、保護者世代の頃とは違った形に変わろうとしています。
今回の特集では、部活動の地域移行を見据えて市が進めている取組や、地域移行に先駆けて既にに活動を始めている団体の紹介、関係者の想いを市民の皆さんへお知らせします。
■教えて!部活動コーディネーターさん! 部活動の地域移行について
沼津市では、部活動の地域移行を進めるため、学校や保護者、生徒たちからの現場の声を聞いて、各競技団体と調整をする役割の部活動コーディネーターを配置しています。
今回は、沼津市スポーツ協会の会長であり、市の部活動コーディネーターを務める髙嶋さんに、インタビューをしました。
[Q]部活動の地域移行とはなんですか?
[A]部活動の地域移行とは、部活動を学校から切り離し、学校以外の主体がスポーツや芸術・文化活動を実施する体制に移行する取組です。これまで教員が担ってきた部活動の指導を、地域のスポーツクラブや民間事業者など教員以外も行っていくようになります。
国が策定したガイドラインでは、休日の部活動から段階的に地域移行することが求められています。
[Q]なぜ地域移行が必要なんですか?
[A]地域移行をする目的は、中学生が将来にわたり、スポーツや芸術・文化活動に親しむことのできる機会を確保するためです。
現在は、少子化の影響により、学校に希望する種目がなかったり、団体競技が単独校で成立しなかったりなど、部活動を維持することが困難になってきています。
また、経験のない競技の指導や休日の指導が教員にとって大きな負担となっていて、教員の働き方改革を推進しようとする動きも背景となっています。
[Q]何が変わりますか?
[A]地域移行によって、部活動の運営主体は学校ではなくなります。
スポーツクラブや文化クラブ、地域の少年団、民間事業者等が活動の受け皿となり、指導者も地域の指導者となることを想定しています。
[Q]地域移行のメリットは何ですか?
[A]生徒が学校の枠にとらわれず、自分の好きな活動を選ぶことができます。
また、校区を越えた仲間が増えたり、活動の場が広がったりといったメリットもあります。
さらに、専門的な知識や技術を持った指導者に教わるので、よりクオリティの高い指導を受けることができます。
[Q]市ではどんなことをしていますか?
[A]令和5年7月に「沼津市部活動改革検討協議会」を設置し、部活動に関わる様々な立場からの意見を集約し、在り方を検討しています。
また4人の部活動コーディネーターが各学校に伺い、部活動の実態や課題をヒアリング調査しました。
学校の状況を踏まえ、11月からサッカー、バレーボール、ソフトテニス、陸上競技、卓球の5種目で休日部活動の地域移行の実証事業を行いました。
今後も実証事業を通じて、受け皿となる指導者や団体の把握、活動場所、生徒の移動手段や指導に係る費用などの課題を整理していきます。
このような取組は、ホームページ(本紙またはPDF版に掲載の二次元コードをご利用ください)やリーフレットで情報発信しています。
[Q]これからの取組を教えてください
[A]日本中学校体育連盟(中体連)が主催する大会などで今年度からクラブ参加が認められており、こうした大会の変化等にも対応する必要があります。沼津市においては国や県の方針、他の自治体の動向を踏まえつつ、当面は実証事業を通じた課題と可能性の検証・確認を行います。
また、休日活動から段階的に地域移行を進め、将来的には平日も含めた全ての活動を移行します。
○沼津市部活動改革検討協議会とは?
学識経験者や学校・保護者・自治会の代表、地域のスポーツ活動・芸術・文化活動の関係者、公募市民など12人で組織し、検討を進めています。
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