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《特集》滝川開村130年記念 タキカワカイギュウ1980-2020(2)

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北海道滝川市

■タキカワカイギュウが遺(のこ)してくれたもの
タキカワカイギュウ発見は、当時大きなニュースとなり、「海牛まつり(のちのしぶき祭)」が開催されたほか、カイギュウのモニュメントを配置した「海牛公園(滝川東公園)」の造成、「シレニア跨(こ)線橋」の建設など、まちづくりにも影響を与えました。これらは、40年が経った今でも、まちの景観や教育資源として息づいています。

◆滝川市美術自然史館
現在でも多くの人が訪れる滝川市美術自然史館は、当初郷土美術館として構想されていました。しかし、構想途中にカイギュウが発見されたことから調査・研究・展示も行える「自然史館」機能も備えた、道内初の統合館として建設が進められることになりました。

◆空知川化石調査
空知川には、現在でも貝化石などが眠っており、子どもから大人まで、誰でも化石採集を体験することができる催しが定期的に開催されています。

◆カイギュウを目覚めさせた男たち
○田中三郎さん
当時は高校教諭という立場でタキカワカイギュウの発掘に参加。化石発見後は地域の教職員とともに古生物の研究・普及に大きく貢献。平成28年に北海道文化財保護功労賞を受賞されました。

当時は化石や採集に関する専門家が現場に多くいたわけではなく、ほとんどの人が専門知識を持たない中で発掘作業に取り組んでいました。わからないことが多く苦労したことを覚えています。当時素人だった私も、発掘の面白さに魅(み)せられ、現在では、子どもたちに化石採集の指導をしています。
「化石=恐竜」というイメージを持つ子どもも多くいますが、化石にはもっといろいろなストーリーがつまっています。化石に興味を持つことで、その生物がいつ、どのような環境で、どのように工夫して生きていたのかなどを考えるきっかけにしてほしいです!

○白井重有さん
当時の市社会教育課長。市職員として、関係機関との連携・調整を行うなど、現場作業以外にも大きく貢献。化石発見後はタキカワカイギュウに係る資料の編集にも携わるなど、普及活動の面で活躍されています。

天候に恵まれなかったこともあり、発掘作業にとても苦労した記憶がありますが、それ以外にも、発掘の許可を申請するために石狩川河川事務所に連絡をとったり、ダムの放流時期などを確認するため芦別発電所と連絡をとったりなど、発掘するための環境作りにも大変労力を使いました。たくさんの方々の協力がなければ、タキカワカイギュウは眠ったままだったのではないかと、今でも思います。当時発掘に携われたことを誇りに思うと同時に、一人ひとりが主体となって発掘作業に努めてくれたことにとても感謝しています。

■タキカワカイギュウ発見40年記念特別展『カイギュウの見た夢』
タキカワカイギュウ発見40年を記念した特別展が、美術自然史館にて開催されています。今回の特別展の一番の魅力は38年ぶりに展示されるタキカワカイギュウの全身『実物』化石です。

会期:8月23日(日)まで
場所:美術自然史館
開館時間:10時~17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日、8月11日(火)(8月10日(月)は開館)
料金:一般300円、高校生以下無料
協力:たきかわ博物館くらぶ

◆学芸員・永井さんに聞く!
~化石が「クジラ」ではなく「カイギュウ」であると決定づけられたのはなぜ?~
○美術自然史館学芸員 永井(ながい)芳仁(よしひと)さん
カイギュウが発見された8月10日限定で、展示を見学した小学生以下先着100名にカイギュウの帽子をプレゼント

当時発掘された化石の正体は、「クジラ」という説が有力とされていました。しかし、調査を進めた結果、クジラの特徴とは異なる部位があることがわかったのです。クジラとの違いはたくさんありますが、特に大きな違いがある部位についてご紹介します。

◇クジラとカイギュウの肋骨と肩甲骨の違いについて
(1)クジラの肋骨は全長から比較すると細く小さいのに比べて、カイギュウの肋骨は太く大きいという特徴があります。骨の重さも、クジラの骨は速く泳ぐために密度が低く軽いことに比べ、カイギュウは長く海底にとどまり海藻を食べるために密度が高く重い骨を持っています。
(2)カイギュウはクジラと違い手を活発に動かしていたことから、肩甲骨が大きく肩甲棘(けんこうとげ)があるなど、筋肉が付着する突起が多く形も複雑になっています。

◆「幻の発掘」と呼ばれた理由
突如現れた化石に対してどう対応するべきなのか…。当時の滝川市はこの思いもよらない出来事に対し「この化石を市の心の財産とする。」と自らが主体となって発掘から普及までを行うという決断を下しました。この大きな事業に、多くの人々が関与し、力を合わせてタキカワカイギュウの存在を明らかにした市民の力には驚くばかりです。
タキカワカイギュウの発掘や研究には、ばく大な費用がかかることから、当時は発掘することに対して否定的な意見も少なくありませんでした。そのような中でも一つの化石をめぐり、たくさんの人が知恵を注ぎ、努力を惜しまずに取り組んだ今回の事例は、これまでも、そしてこれからも出てくることはないだろうという理由から、「幻の発掘」と呼ばれました。
今回の特別展は、この「幻」に触れることができる貴重な機会です。ぜひ会場に足を運び、当時の発掘に対する熱と関わった人々のロマンを感じてみてはいかがでしょうか。

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