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わたしたちの健康~嗅覚障害・味覚障害

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埼玉県和光市

朝霞地区医師会 南和彦

人間が外界を感知するための感覚機能のうち、視覚、聴覚、触覚、味覚(みかく)、嗅覚(きゅうかく)を五感と言います。五感のうち嗅覚はにおいの感覚で、味覚は食べ物に応じて認識される感覚で、いずれも耳鼻咽喉科で扱う感覚です。
空気中に含まれる物質のうち、においの神経(嗅神経)を刺激するものをにおい物質と呼びます。左右の鼻の中で天井にあたる部分に嗅粘膜と呼ばれる部位があります。におい物質がこの嗅粘膜に付着すると、刺激信号が嗅神経を通じて脳に伝達され、においとして感じます。においを感じるまでの経路のどこかが障害されるとにおいを感じることができなく嗅覚障害となります。嗅覚障害を生じると、ガス漏れに気づかない、食品のにおいが分からなくて美味しくない、火災などによる煙を感知できないなど、さまざまな問題が生じます。特にガス漏れや火災に気が付かないといった場合、命の危険にさらされることもあるため、大きな問題となります。一方で、どのようなにおいを良いにおいと感じるかは、文化や育った環境などで変わります。
嗅覚障害は、においを感じるまでの経路のどこが障害されるかによって、次の3つに分類されます。

1.気導性嗅覚障害
鼻の病気のために、においの物質が嗅粘膜に届かないためにおいが感じられないものです。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が原因となることが多いです。
2.嗅神経性嗅覚障害
嗅粘膜が障害される「嗅粘膜性」と嗅神経が障害される「末梢神経性」があります。風邪をひいた後に嗅覚が戻らない場合は、ウイルスによって嗅粘膜が変性する嗅粘膜性嗅覚障害が疑われます。頭部外傷などで嗅神経が切断されることで嗅覚が失われた場合は、末梢神経性嗅覚障害となります。
3.中枢性嗅覚障害
嗅神経よりも中枢側(脳に近いところ)で障害を生じることです。脳が障害を受けることでにおいを判別することができなくなります。原因としては頭部外傷による脳挫傷が最も多いですが、脳腫瘍、脳梗塞、パーキンソン病、アルツハイマー病などの病気でも起こります。

味覚は、食べられるものか有毒なものかを調べる感覚ですが、食欲を高め消化液の分泌量を増やす働きもあります。口の中には、食べ物の味を感じる味細胞(みさいぼう)があります。味細胞は、舌の表面にある茸状乳頭(じじょうにゅうとう)、舌の根本にある有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)に多く存在している味蕾(みらい)の中にあります。食べ物が口に入り、唾液で溶けた成分の一部は味細胞を刺激しますが、これらの成分は味物質と呼ばれます。味細胞の受容体が味物質に刺激され、神経を通じて大脳の味覚野に伝わり、味を認識します。なお、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5つを基本味と言います。
味覚障害はさまざまな原因によって生じます。どこで障害されているのかを考えると、味を味細胞が感じるまで、味細胞から神経に届けるまで、それが脳に伝わるまで、のいずれかの段階で味覚を感じることができなくなる原因があります。主に以下の要因が考えられます。

・血液中の亜鉛不足
・味覚障害を招く全身性疾患
・舌の表面の異常
・風邪
・薬の副作用
・心因性

この他にも、味覚障害ではありませんが、嗅覚障害に伴って食べ物の風味が分からなくなる風味障害もあります。味覚障害が起こると、味が分からなくなったり、味が薄く感じるようになり、食欲が落ちて栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分を摂り過ぎてしまうなど、健康に影響が及ぶこともあります。

新型コロナウイルス感染症では初期の段階から嗅覚障害や味覚障害を頻繁に認めています。新型コロナウイルスにより嗅覚障害が生じるメカニズムは、まだ十分には解明されていませんが、以下の原因が考えられています。1つは、鼻炎症状により匂いを感知する嗅細胞まで匂い物質が到達できないという通常のウイルス性の風邪と同様のメカニズムです。もう1つは、ウイルスによる神経への直接的な障害の可能性が考えられています。味覚障害が生じるメカニズムは、味神経へのウイルスによる障害と、嗅覚障害に伴う風味障害と考えられています。

問合せ:朝霞地区医師会
【電話】464-4666

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