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《特集1》《対談》片田敏孝特任教授×伊東香織市長 今考える災害時の避難(1)

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岡山県倉敷市

《片田敏孝(かただとしたか)》
東京大学大学院特任教授、日本災害情報学会会長、倉敷市災害に強い地域をつくる検討会委員長。東日本大震災で子どもたちの命を救った「釜石の奇跡」で知られる。平成24年には防災功労者として内閣総理大臣表彰を受賞。災害への危機管理対応・災害情報伝達・防災教育・避難誘導策の在り方などについて、地域での防災活動を各地で指導している。

《伊東香織(いとうかおり)》
倉敷市長。4期目にあたり、「災害からの復興とみらいに向かうまちづくり」を政策に掲げる。平成30年7月豪雨災害の経験を市全体で共有し、防災教育の推進や地区防災計画の策定推進を図ることで、地域の災害対応力向上を目指している。

■新型コロナウイルスの感染リスクがある状況下での避難行動
伊東:新型コロナウイルスがまん延する状況下では、避難所は、感染リスクが高い環境となることが予想されます。片田先生が会長を務められている日本災害情報学会では、在宅避難や車中避難などを含めた「分散避難」という考え方を示されましたね。
片田:はい。避難とは難を避ける行動のことで、避難所に行くことだけが避難ではありません。分散避難とは、新型コロナウイルスなどの感染リスクを下げることを念頭に置きながら、住民一人一人が事前にハザードマップを活用するなどして自分の家の安全性を確認し、自宅外に避難すべきかどうかを検討して、どこに避難するかを選ぶことです。

■避難所に行くことだけが避難ではありません
伊東:倉敷市でも、さまざまな避難方法を示して、避難者の分散を図りたいと考えています。市民の皆さまには、広報くらしき5月号と一緒にお配りした「洪水・土砂災害ハザードマップ」で、ご自宅が安全かどうかを日頃からよく確認いただき、大雨を想定した場合の避難先・方法としては、「自宅などの2階以上への垂直避難」「親戚や知人の家への避難」「車での安全な場所への避難(車中避難)」「自主防災組織が運営する届出避難所への避難」などの分散避難について、前もってご検討いただきたいと思います。加えて、飲料水や食料、常備薬、マスク、消毒液など備蓄物資の準備をお願いしたいと考えています。
片田:そうですね。自宅が浸水する可能性がない場所、土砂災害の危険がない場所、例えばマンションの上層階の場合には、その場に留まる在宅避難も避難の一つです。自宅外への避難については、職場などへの避難という方法もあります。また、車での避難も、道中や行き先の安全性確認・トイレ・エコノミークラス症候群などの対策をよく準備した上で、選択肢に入れてよいと思います。そして、そういった分散避難ができない場合には、ためらわず、公的な避難所へ向かっていただきたいと思います。

■感染症対策に配慮した避難所
伊東:今は特に感染症対策に配慮した避難所運営が必要です。避難所の受付で聞き取りや検温を行い、体調の悪い方を確認した場合には滞在場所を分けなければなりません。また、通路幅を1~2メートル程度確保したり、家族で一つの区画を使用していただいたりと、できるだけ避難者同士が交わらないような配置にすることも大切です。市の公的な避難所では、段ボール仕切板、間仕切り用透明ビニールシート、非接触型体温計、マスク、手指消毒液などの感染症対策用品の確保を進めています。平成30年7月豪雨災害では、発災の翌日から保健師が避難所に入り、手洗いの徹底を呼び掛けたことや、早くから段ボールベッドや間仕切りのカーテンを設置し、衛生環境を整えたことなどが、避難所での感染症の発生がないことにつながったと思います。これらの経験は、今後の災害時の感染症対策に生かせると思っています。

■自分や大切な人の安全は自分で守るしかない
片田:一人一人が自分の安全をしっかりと考える、災害に向かい合う姿勢というものが本当に大事だと思っています。特にこの新型コロナウイルスの感染予防は、「密な場所を避ける」などの自分自身の行動が自分の安全に直結しています。自然災害についても同じことがいえます。これまでの日本における自然災害に対する避難は、住民からすると、行政から情報をもらい、行政から逃げろと言ってもらい、行政から準備してもらったところに逃げる、という受け身の姿勢だったのではないかと思いますが、新型コロナウイルスの感染リスクがある状況を経験して、「自分の安全は自分で守るしかない」ということを、皆さんが認識されたのではないでしょうか。
伊東:マスクの着用や手洗いなどが新しい生活様式として習慣的になりましたが、そういった一人一人の日頃からの備えが、災害時に自分や家族、大切な人の命を守る行動につながると考えています。地域・行政が一体となり、災害や感染症に対して「私たち全員が当事者だ」ということを胸に刻んで、命を守るための備えをしっかり準備していきたいと思います。

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