ユーザー登録
文字サイズ
自治体の皆さまへ

至誠通天 市長コラムNo.064 和泉聡

4/44

栃木県足利市

■嘘をつく
最近、出会った文章の中で、思わず「ああ、その通りだよなあ~」と心の中で最も大きくつぶやいたのは、2月7日の日経新聞に載ったコラム『プロムナード』で、ノンフィクション作家の河合香織さんが書いた『嘘の効用』という一文です。
「子供が生まれた時に、この子が嘘を吐ついても絶対に叱らないでおこうと決めていた。それなのに、今日もまた嘘を咎とがめてしまった」と書き始めた河合さん。子どもに謝る代わりに、谷川俊太郎の『うそ』という詩を読み聞かせたのだそうです。
「ぼくはうそといっしょにいきていく/どうしてもうそがつけなくなるまで/いつもほんとにあこがれながら/ぼくはなんどもなんどもうそをつくだろう」
そして河合さんは「誰にでも言えないことがある。言いたくないこともある。辛さを覆うために嘘を吐くことだってあるだろう」と書き進め、最後に「嘘を言わざるを得ない思いに考えを巡らせることこそ、誠実さではないかと。嘘の中に本当のことがある。嘘が生きる養分にもなる」と締めくくりました。
嘘をついたことを責めるよりも、嘘をつくしかなかったその状況、その人の気持ちに思いを致らせる。そのことこそが、本当の優しさなのだと教えられ、私の心に深く刻まれたのでした。
人間の感情や行動はいつも矛盾に満ち絶えず揺れ動く。いまこうだと思ったことが、次の瞬間には変わったりする。社会も世の中も複雑で理路整然と説明できないことが多い。大切なのは、正論を大上段に振りかざすのではなく、人間や社会のもつ矛盾や複雑さにいつも思いを馳せる。そういう優しさを持つことこそが、まちづくりをしていくうえでも大切なのではないか。
足利市はそんな優しさを持つまちであってほしい。そんなことを胸に市長の仕事を進めたいと思ったのでした。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

自治体からのお知らせ欄
コメント
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-20-5 石川ビル3階

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

ユーザー登録
MENU