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自治体の皆さまへ

未来の平和のために 戦争の記憶 引き継ぐときー(2)

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群馬県前橋市

◆資料を保存し継承するー
前橋空襲と復興資料館検討委員会
令和2年3月、前橋空襲を語り継ぐ資料館であった「あたご歴史資料館」が、運営する地域住民の高齢化などの理由から閉館しました。市や市民、自治会・市民団体からなる「前橋空襲を語り継ぎ、平和資料を収集展示の形の検討会」では、この資料を活用しようと新たに資料館を開設し常設展示を目指す方針を決定。「前橋空襲と復興資料館検討委員会」を設立し、6月29日に第1回の会議を開催しました。
市文化スポーツ観光部長を含む4人の委員が、事務局から全国の資料館設立の事例について説明を受けました。
県立県民健康科学大講師・岩根承成さんは、「資料館として披露するためには、新たな資料の収集を並行してする必要があります。また、展示や資料の保管だけでなく、前橋空襲そのものの研究を合わせて進められるといいと思います」と設立への課題などを共有。
群馬地域学研究所代表・手島仁さんは、「空襲については、市民学芸員の皆さんも研究を重ねています。歴史研究者でなくても、関心があれば自分たちで調べられる時代。そういう人が増えて成果が上がれば、市民が作り上げるような資料館ができ、たとえ面積は小さくても充実した資料館ができるのではないか」と話しました。
日本女子大名誉教授・吉良芳恵さんは、「資料を集めたあと、学校や社会教育でどう生かすかも考えておかなければなりません。遠くなっている戦争を、どうやって未来の平和に生かしていくかを考えることが必要」とし、平和教育への活用についても確認しました。
検討会では、昌賢学園まえばしホールのフリースペースを活用し常設展示を目指すこととして検討を進め、現地を確認。今後も学習会などを重ね、資料館開設を目指します。

◆空襲などの関連資料を展示します
市役所1階市民ロビーで、前橋空襲と広島・長崎原爆パネル展を開催。旧あたご歴史資料館から寄贈された平和関連資料も一部公開します。また、戦災者への冥福を祈り、空襲や原爆投下の時刻に黙とうをささげてください。
日時:
〔展示〕8月17日(水)まで
〔黙とう〕8月5日(金)22時30分・6日(土)8時15分・9日(火)11時2分

問合せ:生活課
【電話】027-898-6236

◆芸術で後世に伝えるー 市民ミュージカル
市民ミュージカル総監督
新 陽一さん
市民ミュージカルの総監督を務める。
前橋空襲3部作の第1作「灰になった街」は来年8月5日(土)、6日(日)に昌賢学園まえばしホールで上演予定。

来年上演予定の市民ミュージカル「灰になった街」。同作は前橋空襲をテーマにした3部作の第1作で、平成20年に前橋女子高の音楽部が初演、平成27年にはオーディションで選ばれた市民などをキャストに起用し、市民ミュージカルとして上演しています。この作品の脚本・演出を手掛けるのが新陽一さんです。前橋女子高の音楽部を指導していた新さんは、オリジナルミュージカルを作成するに当たり地元に根差した話にしたいとテーマを探したところ、前橋空襲を知ったそう。
「県外出身のため前橋空襲のことは知りませんでした。調べると、日本の地方都市としてはかなり大きな被害であったことや前橋高等女学校の生徒と大きな関わりがあることが分かりました。生徒が体育館で風船爆弾を作っていたことや、現在のJR新前橋駅近くにあった理研工業前橋工場に学徒動員で働きに行き軍用機の部品を作っていたことなど、調べて分かったことを、作品に盛り込んでいます」
制作には4~5年がかかったといいます。
「主な資料は前橋女子高校60年史。そこに書かれていた満州の2人の留学生の存在から第2作「我愛你(ウォーアイニー)」が、華道草月流家元の娘が在籍した史実から第3作「鎮魂華(ちんごんか)」が生まれました。また、戦争の語り部から話を聞いたりもして、これは後世に絶対に伝えていかなければいけないと感じました」
前橋空襲3部作を前橋の文化として続けていきたいと話す新さん。
「市民ミュージカルとして市民が演じることで追体験ができると考えています。追体験するには本を読んだり映画を見たり、資料館を訪れたりといろいろな手段がありますが、ミュージカルは興味がない人や若い人にも伝わりやすいと思います。実際に戦争の記憶がある人はいちばん若い人で80代半ば。あと10年もしたら戦争体験者は少なくなってしまいます。前橋が焼け野原になり、多くの人が亡くなったことを知っている人はほとんどいないと思います。今、前橋駅南の商業施設がある場所は、昔軍需工場であったことも、知らない人が多いと思います。だから、キャストには実際にこういう悲劇があったことを私たちが現代の人に伝えるんだ、という意識を持ってもらいたい。そして、観客には、今日の平和は悲惨な出来事の犠牲の上にあるということを知ってほしいと思います。21世紀に世界で大きな戦争が起きるとは誰も思わなかったように、平和はみんなで守っていかないと続かないですからね」

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