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富士山世界文化遺産 登録10周年記念特集 VOL.4(1)

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静岡県御殿場市

■true 富士山 = 活火山
宝永4(1707)年12月16日の早朝、宝永噴火が起こりました。記録が残る中では最も大規模な富士山噴火です。御殿場をはじめとする駿東地区一帯は暗闇に覆われ、大打撃を受けました。噴火してから2時間後には江戸(東京)にも火山灰が降り始め、2週間にわたり降り続きました。
富士山は宝永噴火後300年以上もの間沈黙を続けていますが、れっきとした活火山です。
今号では、富士山と防災を特集します。少し目を背けたくなる内容ですが、避けては通れないテーマです。一人ひとりが考えてみましょう。

●数字で知る
◇宝永噴火御殿場の被災状況
噴火から約1年後の住民の状況(当時の村のうち、記録が残る7村の合計)
噴火前の人口:2,070人

[70]
平均70センチメートル。市内に積もった火山灰の厚さ。(多い場所では約2.1メートル積もり、少ない場所ではほとんど積もらなかった)
出典:御殿場市史 第8巻

■if もしも噴火したら…
富士山は300年もの間噴火していないとはいえ、一般的な火山の寿命や噴火周期を見ると、これから活発に活動することも想定できます。富士山噴火に関係が深い県や市町村、専門家などで構成される富士山噴火に対する防災検討組織(富士山火山防災対策協議会)が令和3年にまとめた報告書によると、噴火した際の溶岩の流出量は最大13億立方メートルで、溶岩流の到達エリアは静岡県、山梨県、神奈川県の27市町村に及ぶとされています。市内では、火口の位置によっては噴火から最短で110時間(4日と14時間)で溶岩流が市役所に到達すると想定されています。また、各行政区においても、下表の通り溶岩流の到達時間が想定されています。冷静に避難すれば溶岩流による人的被害はゼロに抑えられると考えられますので、あらかじめ把握しておくことが肝心です。
火山灰による被害は、近隣自治体にとどまらず、広範囲に及びます。また、一般的な灰とは異なり、ガラス質や鉱物で出来ているため、深刻な被害が発生する恐れがあります。国の中央防災会議の令和2年の報告によると、首都圏にも火山灰が降り、鉄道や道路の不通をはじめ、物資不足、帰宅困難者の発生、停電、上下水道の停止、建物の倒壊、健康被害など、多岐にわたる被害の発生が想定されています。

◇想定される溶岩流の到達時間(行政区別)
※区域内に到達する場合の最短時間

*同じ到達時間区分内での行政区名50音順
*市内のほぼ中央を走る分ぶんすいれい水嶺(雨水などが流れる方向の境界となる嶺みね)を境に、南北に溶岩流が流れると想定されています。従って、火口の位置によっては、表で溶岩流の到達が想定されている行政区でも、到達しない場合があります。

▼気になる!噴火と地震の関連性
宝永噴火の49日前に、推定マグニチュード8を超える宝永地震が南海トラフで起こっています。宝永噴火の原因は、宝永地震が地下のマグマ溜まりに何らかの影響を与えたためではないかと言われています。
平成23年の東日本大震災(マグニチュード9)の4日後に富士山直下で起こった最大震度6強の地震の際には、専門家の間で富士山噴火に対する緊張が高まりました。20世紀以降に世界で発生したマグニチュード9クラスの5つの巨大地震の後には、その付近の活火山が必ず噴火しているからです。
今後、南海トラフ地震などの大地震が発生すると言われています。これらの地震によって、富士山が何らかの活動を開始することも予想されます。「富士山噴火」という視点でも地震に関心を持ち、日頃から地震と噴火の両方に備えた対策を行うことが大切です。

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