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自治体の皆さまへ

特集 気候変動に備える 水害に強いまちづくり 取り組んでいます-1

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東京都江戸川区 クリエイティブ・コモンズ

近年の気候変動による降雨量の増大や、洪水・高潮の発生頻度の増加などにより水害リスクが高まっています。区では、大規模水害が起きても被害を最小限に抑えるための施策を進めていますが、水害は区の取り組みだけでは防げません。水害を防ぐためには、国や東京都などの河川管理者との連携はもちろん、あらゆる関係者の協力が必要です。区全体で何をすべきかをお伝えします。

・江戸川区気候変動適応センターを開設
区では、今年度から気候変動が地域にもたらす影響の情報収集・提供などを行う拠点として気候変動適応センター(都内では初、全国の区市町村では3番目)を開設しました。
区民の皆さんが気温上昇や気候変動による影響を「自分ごと」として捉えることができる情報を発信し、取り組みを本格化していきます。

■歴史から学ぶべきこと

江戸川区の歴史は水害との闘いと言っても過言ではないほど、過去何度も大きな水害に見舞われてきました。
昭和22年9月のカスリーン台風では利根川の堤防が決壊し、小岩から船堀までが濁流にのまれ、約13万3000人が被災しました。
昭和24年8月のキティ台風では高潮により中川堤防・新川堤・葛西海岸堤が決壊し、区内各所で浸水。区内全域で約6万2000人が被災しました。平井・小松川地区では追い討ちの豪雨もあり、被害はより深刻でした。
そして記憶に新しい令和元年の東日本台風(台風19号)では、国内の各地で堤防が決壊し、大規模な水害が発生しました。初めて避難勧告を発令した江戸川区においても、気象条件が少し違えば大規模な被害が発生していたかもしれません。
このように江戸川区が水害の被害を受けやすい理由は、区の陸域の7割が満潮時の水面よりも低いゼロメートル地帯だからです。周辺の河川や海面の水位は区の大半の地盤より高いため、ひとたび洪水や高潮により氾濫が起きれば甚大な被害が発生する土地柄なのです。
だからこそ、悲惨な歴史を繰り返さないためにも、区全体でこれからすべきことを過去の水害から学ばなくてはいけません。
あらゆる関係者が力を合わせて取り組む、新しい治水対策「流域治水プロジェクト」をご紹介します。

■流域治水プロジェクトはあらゆる関係者の力が必要

流域治水プロジェクトとは、上流から下流までの流域に関わる全員で力を合わせて行う水災害対策で、上流部の集水域から中流・下流部の氾濫域(下図参照)までを対象とし、国や自治体、流域のあらゆる関係者が協働して進めていく三つの対策を指します。一つ目は、氾濫をできるだけ防ぐ・減らす対策(堤防整備など)。二つ目は、被害対象を減少させる対策(高台まちづくりなど)。三つ目は、被害の軽減、早期復旧・復興のための対策(避難行動シミュレーションなど)です。
これらのうち、ハード(設備)面については、水害を防ぐ施設として上流ではダムが、中流では遊水地などがその役割を担っています。また、下流では、中高層の建物群・高規格堤防・高台公園などの施設が浸水時に避難場所や救出・救助などの活動拠点として機能します。この下流の施設全体の整備を「高台まちづくり」と呼び、国や江戸川区を含めた自治体が一丸となって取り組みを進めています。

■江戸川区にこそ必要な高台まちづくり

令和3年3月23日の日本経済新聞朝刊に掲載された新聞広告「高台まちづくり」において、関東地方整備局長の土井弘次さんは次のとおりコメントしています。
「ゼロメートル地帯などには人口・資産が集積し、ひとたび大水害が発生すると広範囲で長期間の浸水が想定されます。このため、治水対策の加速化と合わせて、早い段階からの避難の実効性を高めるとともに、避難ができなかった場合でも、命の安全・最低限の避難生活水準を確保でき、避難場所にもなる『高台まちづくり』を推進します」
江戸川区は水害リスクが高い環境にあることから、区では総力を挙げて高台まちづくりを進めています。具体的な取り組み事例は、1~6のとおりです。

1.小岩駅周辺では避難場所などを備えた高層建物の建設が進んでいます。
2.北小岩地区では高規格堤防が完成し、水害だけでなく地震にも強い安全なまちになりました。
3.船堀地区では令和10年度完成予定の新庁舎が、災害時にも行政機能を維持し、確実な情報発信を行える区の災害対応拠点になります。
4.都立篠崎公園周辺では堤防整備や公園の高台化などを進め、もしものときに浸水区域外へ避難できる都市計画道路や都県橋整備の検討を進めています。
5.公共施設・学校を避難スペースとして活用します。
6.ポンプ所などの排水施設の強化を推進します。
(1、2⇒下写真、1~6⇒下図参照)

このように高台まちづくりは、さまざまな施策を複合的に機能させる強力な治水対策です。
では、この高台まちづくりの施設があれば、もう安心といえるでしょうか?残念ながら、これらの対策だけでは被害を最小限に抑えることはできません。

◇高台まちづくりとは
平常時はにぎわいのある空間、公園、良好な都市空間、住環境などを提供し、浸水時には緊急の避難場所や救出救助などの活動拠点として機能します。高台公園や高規格堤防の上面からは道路や連続盛土などを通じて浸水区域外への移動も可能です。

1 FIRSTA koiwa
小岩駅南口に建設中の複合施設FIRSTA koiwaは被災時に施設の一部が避難場所として機能します。浸水しても避難できるよう、建物群をペデストリアンデッキ(高架歩道橋)でつなぐ検討をしています。

2 北小岩地区 高規格堤防

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