■ヒイロタケ Pycnoporus coccineus(タマチョレイタケ科シュタケ属)
▽染物の原料にも
色づいた葉が落ちるころ、朝晩の冷え込みがグンと増します。赤色や黄色の美しい花で彩られる霧島山は春までお預けです。落ち葉のクッションを踏みしめながらハイキングコースを歩いていると、植物以外にも素敵な彩りをまとった生きものに出会いました。鮮やかな緋色のきのこ「ヒイロタケ」です。
広葉樹の枯れ木から発生し、平地から山地まで広く見ることができます。しかし、このヒイロタケ、出会うにはタイミングがあります。以前見つけた場所に行ってみても美しい姿は見当たらず、代わりに真っ白なきのこがあるだけでした。それもそのはず、出始めは美しい緋色をしているのですが、雨風にさらされると真っ白になってしまうのです。試しに新鮮なヒイロタケを触ってみると、指に緋色の粉がつきました。
その美しい色から草木染ならぬきのこ染めの原料としても使われるヒイロタケ。冬の森に暖かな彩りを与えてくれます。
文:えびのエコミュージアムセンター
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