■落葉果樹の整枝・剪定について
カキやモモなどの落葉果樹は、厳寒期の休眠期が剪定時期となります。早春に開花する梅は例外として2月ごろから樹液の流動が始まるので、落葉後から2月初旬ごろまでが剪定の適期です。落葉しているので枝葉が伸びた状態をイメージし、結果習性を考慮して樹勢の維持と安定生産のため剪定を行いましょう。樹種により違いはありますが、今回は大まかな剪定方法と注意点について解説します。
◇1 基本樹形
落葉果樹は、カンキツ類に比べ太陽光の要求度が高く、日陰になると枝枯れや樹勢の低下を招きます。枝の交差や込み合わないように骨格(主枝)を作り、そこから果実のなる枝(亜主枝、側枝)を配置します(図1参照)。立ち木とツル性の樹種の違いはありますが、立ち木では、主枝を異なる位置から3本程度立たせます。主枝から横枝となる亜主枝を2~3本配置し、頭でっかちにならないように主枝の先端に向かって亜主枝の長さを短くしていき光線が樹内部に届くように樹形を整えます。ツル性のブドウやキウイは棚栽培が一般的で、主枝から亜主枝を作りそこから側枝を配置します。ツル性の果樹は、枝を誘引して棚面に配置しますが、春以降に出てくる枝に花が付くので、枝が伸びる間隔を十分にとることが重要です。棚面に主枝を一文字やエックス字などに作ると側枝の配置が容易になります。
◇2 結果習性と整枝
着花は、前年に発生した枝に花が付きますが、樹種により花芽のつき方が異なります(表参照)。カキやクリなどは、前年に未着果の側枝(母枝)から発芽した枝に花が付きます。従って枝が伸びる空間を十分にとらなければ枝が込み合います。充実した母枝(長すぎず短すぎず)を確保することがポイントです。注意点として母枝の枝先は切ってはいけません(枝先刈り)。先端付近の芽に花芽があるためで、特にカキの枝先刈りは厳禁です。また、主枝や亜主枝から結果枝が伸びすぎる傾向があり、枝が下垂し始めると樹勢が弱るので、時々、主枝や亜主枝に近い枝まで切り戻すことが必要です。モモやウメなどは、側枝(母枝)に花になる芽と葉になる芽が混在しているので、前年の枝に花が着きます。徒長枝など強勢な枝には花芽が少ないため、中庸な枝を結果枝として利用します。間隔をとって結果枝を配置しますが、先端が弱らないように枝先刈りは軽く行いましょう。ウメは徒長枝が良く出ます。強勢枝は切除しますが、他の枝に邪魔にならない徒長枝は先刈りをすると翌年に短い結果枝がたくさん付き、予備枝として利用できます。
表:落葉果樹類の開花習性
◇3 その他
主枝や亜主枝の幹上部から発生する勢いの強い枝は日陰を作る原因になるので剪定時に除去します。幹の横や下から出る中庸な枝を利用します。また、落葉果樹は、亜主枝の途中から強勢な枝が出るとその先端が弱る「負け枝」という現象が見られます。ツル性の果樹でよく見られるので、枝の先端を切り返しておくか、その強勢枝を枝の先端に更新するのもひとつの方法です。樹形にこだわらず、結果習性を考えて枝を切ってみることから始めてみてください。
※詳細は本紙をご覧ください。
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