文字サイズ
自治体の皆さまへ

しまなみ農業だより

12/31

愛媛県上島町

■カンキツの果実腐敗について
秋も深まり、ミカンも色づきはじめカンキツ類の収穫が本格化する季節になりました。収穫したカンキツは、出荷や贈答、自家用として利用されますが、収穫後に箱や容器に入れた状態で果実が腐ることがよくあります。カンキツの腐敗は、市場に着いてから箱の中で腐るため市場病害と呼ばれ、消費地からのクレームの原因となり産地イメージの低下につながります。今回は、収穫後のミカンに腐敗が起こる原因について解説します。

(1)腐敗の様子
カンキツの皮にはワックス層があり貯蔵性の高い青果物ですが、生物(なまもの)なので腐敗をすることがあります。腐敗の原因のほとんどがカビによるもので、緑かび病、青かび病が大部分を占めます。はじめは透明(水浸状)に腐りはじめ、中心部から青緑色のカビが広がり全体が腐ります(写真1)。容器の中では、1個腐った果実のまわりの果実まで共腐(ともくされ)する場合もあります。また、ヘタを中心に薄茶色に腐敗する軸腐病(じくくされびょう)や黒く乾いたように腐敗する黒腐病(くろくされびょう)が発生することがあります。
※写真は本紙をご覧ください。

(2)腐敗果の原因
腐りやすさは、品種や環境により異なります。皮が薄くて柔らかい温州みかんや愛媛果試第28号(紅まどんな)などは腐りやすい品種といえます。レモンはトゲ傷がつきやすく皮が薄くなる黄色の果実では意外と腐ることがあります。腐敗をおこす病原菌は、常に空気中に浮遊しており、鏡餅などに生える青緑色のカビと同属の菌です。では、皮にワックス層があり貯蔵性の高い青果物のカンキツがなぜ腐るのか、大きな原因がふたつあります。ひとつは、収穫時のハサミ傷や果梗枝の切り残しによる他の果実への刺し傷、採果かごやコンテナ内の砂や硬いゴミによる傷、果実を放り投げたり高いところから落とす打撲傷などから菌が侵入し果実を腐らせます。ふたつ目は、カビが繁殖しやすい気象条件が考えられます。カビが繁殖しやすい環境条件(高温、多湿)と気象の影響によるカンキツ果実の体質が関わります。収穫前に雨が多く、気温が高い年は浮皮の発生や糖度が低くなり、こうした年柄の果実は腐敗が多くなります。

(3)腐敗を減らす対策
果実腐敗を発生させないためには、果実に生傷をつけないことが重要です。採果ハサミでヘタを傷つけないように、ていねいに果実を収穫し、かごからコンテナへの移し替えや選別の時には果実をていねいに扱い、手袋をして果実に爪で生傷をつけないよう注意しましょう。樹上で、鳥によるひっかき傷や突つき傷、害虫の食害なども腐敗傷の原因になるので、収穫時によく点検しましょう。また、収穫の1週間前に殺菌剤で防除をすると果実の腐敗を減らすことができます(表参照)。
温州みかんは、収穫後にキャリーのまま雨の降りこまない軒先(日陰)で5日~7日置き、果実重が5%程度減量すると皮がしなやかになり、予措効果により腐敗果の減少、貯蔵性が向上します。

▽カンキツ類の腐敗防止農薬

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒104-0061 東京都中央区銀座3-4-1 大倉別館ビル5階

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU