文字サイズ
自治体の皆さまへ

しまなみ農業だより

13/29

愛媛県上島町

■レモンについて
最近、チューハイなどの大手飲料メーカーや菓子、調味料などレモンに関わる商品をたくさん目にします。コロナ禍で塞ぎがちな生活にレモンのさわやかな香りと酸っぱい刺激で気分転換を狙いとした商品開発が一つの要因と考えられます。今回は、上島町で多く栽培され、なじみの深い「レモン」を話題にしました。

(1)原産地と栽培の歴史
レモンの原産地はインド東部の山麓地帯と言われています。文明の発達によりレモンが利用され、世界規模の歴史の変遷とともに世界各地にレモンが栽培されるようになりました。ヨーロッパでは富の象徴や薬用として珍重され、大航海時代には船員の壊血病の特効薬として利用されました。レモンは寒さに弱いため栽培適地が限られ、ヨーロッパではイタリアのシチリア島やスペイン南部などの地中海沿岸、アメリカ大陸ではカリフォルニア、南米のチリ、ニュージーランドなど低緯度の沿岸部が主産地となっています。日本には、明治の初めに静岡県で栽培が始まり、明治30年代には広島県の芸予諸島に苗木がもたらされ、食の洋風化にともなう需要の拡大により換金作物として瀬戸内沿岸で栽培が定着しました。しかし、貿易の自由化による輸入レモンの増加や寒害被害、輸入レモンの防腐剤使用など幾度も生産の危機と増産を繰り返し現在のレモン産地が存続しています。直近のレモンの国内流通規模は約5万トンで、その内、約1万トン(20%)が国内生産です。国内の産地別では、生産量の首位は広島県で全体量の約60%、愛媛県は第2位で約20%を占めています。

(2)栽培特性
レモンは、樹高が3m程度になる高灌木の果樹で、枝にトゲを生じます。国内での中心品種のユーレカ種は、トゲが短く少ない、リスボン種はトゲが長く多い特徴があります。レモンには着花に四季咲き性があり、ユーレカ種はその性質が強く、リスボン種は春花中心の品種です。果実の形は開花時期や品種により異なり、レモンの果形は紡錘形(ラグビーボール)で、果頂部に乳頭突起を生じますが、気温が低い時期に開花した果実は丸味を帯び、ユーレカ種はリスボン種よりもやや丸味のある果形となります。
栽培上での注意点として、レモンは他のカンキツ品種に比べ寒さに弱く、マイナス3℃以下が長時間続くと葉や果実の凍結による落葉や果実軟化が発生します(表1参照)。また、かいよう病という細菌による病気にかかりやすく、風当たりの少ない、排水のよい畑が適します。レモンは、前記の栽培適地さえ気を付ければ、糖度を気にしないため他のカンキツ品種より栽培しやすく収穫期間が長いため当地域での柑橘経営に導入されたい品種のひとつです。

(3)食材としての利用
レモンは、主に果汁を食用に用いることが多く、香りのほとんどは皮に含まれています。香りをより生かすためには、櫛切りにした果実の皮を下に向けて料理や飲料に絞り込むとよいでしょう。ビタミンC、クエン酸を多く含み、疲労物質である乳酸の分解を促し、血流改善などの機能性向上効果が示されています。また、レモンに関する最近の研究で果汁に含まれるフラボノイドの一種、エリオシトリンという物質が食後の脂肪代謝に非常に有効であることが明らかになり、油物に添えて食することの意義が裏付けられました。

(4)レモンの振興助成
上島町では、町特産のレモン栽培を振興するため、レモン産地育成支援事業を制定し、苗木購入費用の補助を行っています。なお、本数により補助率が異なるので苗木の購入予定がありましたら上島町農林水産課にご相談ください。

▽表1 かんきつ類の栽培に適する気温の基準

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒104-0061 東京都中央区銀座3-4-1 大倉別館ビル5階

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU