健康 健康 健やかで安心して暮らしていくために-医療メモ-

■『痛風』って足のおやゆびの付け根の関節が痛くなるだけ?
本庄市児玉郡医師会広報部
『痛風=足のおやゆびが痛くなる』『風が当たるだけで痛い』と理解している方が多いと思いますが、本当にそれだけなのでしょうか?痛風は尿酸の結晶が関節の滑膜とよばれる組織にできることによって関節炎症状(痛風発作)をきたす疾患です。関節だけに限らず腱などの組織に結晶ができても発作を起こします。
では、なぜ尿酸結晶ができるのでしょうか?尿酸は食物(プリン体を含む)を消化吸収した最終産物で腎臓から尿に溶けて体外へ排泄されます。詳しい説明はしませんが、血液中にたまりやすい体質と理解してください。この体質を治すことはできません。尿酸は水温が高いと溶けやすく、低いと溶けにくい性質を持っています。小学校の理科の実験で食塩を水に溶かしていくと、ある濃度を超えると溶けなくなりましたね?尿酸の場合、水温37度で6.8mg/dl程度です。6.8mg/dlを超えると結晶化(析出)します。尿酸値の高い人の血液では尿酸が結晶のまま(つぶつぶの状態)全身を流れています。ここからが大切です。血管内を流れている結晶は徐々に血管内壁(内膜)に付着して、血管が狭くなり硬くなり最終的には詰まってしまいます。結果として高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全などの病気のリスクが高くなります。関節が痛くなるだけでなく全身の病気だと理解してください。また尿路結石の原因にもなります。
治療は尿酸値を6.0mg/dl未満に下げて維持します。先ほど体質は治せませんと言いましたね。薬をやめればすぐに尿酸値は上がります。したがって治療は継続する必要があります。プリン体を摂取しない食事療法をすればよいのでは?と思うかもしれませんが、残念ながら食事療法で尿酸値を目標まで下げることはできません。プリン体を含まない食事を摂り続けることは不可能です。極端な食事制限はかえって体に害をもたらします。

▽次の事に気を付ける事をおすすめします
・日頃から水分を十分に摂り脱水を避ける(過度のアルコール摂取も脱水を招きます)
・食事のバランスに気を配り、できれば暴飲暴食を避ける
・肥満傾向の方は総カロリーを制限しダイエットをする(月に1~2kg程度)
基本的に食べてはいけない、飲んではいけないものはありません。治療を継続して楽しい食生活を送りましょう。人生一度きりですから、楽しくなくっちゃ!