文化 『西南戦争と150年後のぼく』

北海道出身のJICAグローカルプログラム実習生が、西南戦争にまつわる史跡を巡り、心に感じたことを綴りました。

■その七「宇蘇浦官軍墓地」
墓地に続く坂道を助手席からまっすぐ見る。えらく傾斜のある道で視線は自然と上を向く。地面は見えずに濃い緑色の木々に飛び込んでいくような感覚だった。左に曲がると深いオレンジ色の案内看板とまだ角のよく尖っている石碑が見える。
墓石のひとつが倒れたらしい。ぼく達は今日、それを直しに来た。墓地に入って辺りを見回す。墓石はきれいに並んでいるから、それはすぐに見つけられた。縁石につまずいて前に倒れたかのようだ。ひとまず後ろに回って抱き起こす。しかしぐったりとしてなかなか動かせない。
兵士が旧道から離れた目につかないところで眠っているのは、士気を下げないようするため。亡くなった仲間をここまで運ぶのは大変な苦労だったはずだ。ふたりがかりで墓石を動かしているうちに、ふと心にこのことが浮かんだ。

長谷川 健太