その他 第243回 郷土の植物(434)

■ギンリョウソウ(ツツジ科)
阿孫久見

丘陵地(きゅうりょうち)から山地(さんち)のやや湿(しめ)った林内(りんない)に生育(せいいく)する高さ20センチほどの葉緑素(ようりょくそ)のない純白(じゅんぱく)の腐生植物(ふせいしょくぶつ)です。生物(せいぶつ)の死(し)がいや、その分解物(ぶんかいぶつ)から根(ね)に共生(きょうせい)する菌根菌(きんこんきん)を通じ(つうじ)、有機物(ゆうきぶつ)を吸収(きゅうしゅう)して栄養(えいよう)を摂(と)る植物を腐生植物といいます。
互生(ごせい)の葉(は)は退化(たいか)した鱗片状(りんぺんじょう)で、ふちはぎざぎざがありません。春から夏の頃(ころ)、茎(くき)の先端(せんたん)に1個だけ径(けい)3センチほどの筒状(つつじょう)の3~5個の花弁(かべん)のある花を下向(したむ)きに咲(さ)かせます。
花のあと球形(きゅうけい)で白い径1・5センチほどの液果(えきか)(果皮(かひ)が肉質(にくしつ)で多量(たりょう)の水分を含(ふく)む果実(かじつ))をつけます。
和名の由来(ゆらい)は下向きにつく花と、うろこ状(じょう)の鱗片葉(りんぺんよう)に包(つつ)まれた姿(すがた)を竜(りゅう)に見立(みた)て、銀竜草(ギンリョウソウ)の名があります。
竹田では、里山(さとやま)の雑木林(ぞうきばやし)の林内や山地の腐葉土(ふようど)のたまった土壌(どじょう)の林内で普通(ふつう)に観察(かんさつ)されます。花期(かき)は4月から7月です。