市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院 内科・総合診療科副部長
谷崎 隆太郎 医師
質問:帯状疱疹(たいじょうほうしん)ってどんな病気ですか?
回答:一言で言うと、痛くて嫌な病気です。でも、予防のためのワクチンがあります。
■帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、急に体の皮膚が痛くなりブツブツ(水疱(すいほう))ができる病気です。帯状疱疹を起こす原因微生物は水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスであり、実は水ぼうそう(水痘)を起こすウイルスと全く同じウイルスです。このウイルスに初めて感染すると水痘として発症しますが、水痘が改善した後もずっと体内の神経のそばに潜伏(せんぷく)し続けます。そして、私たちの免疫が弱った時を狙って、隠れていた場所から飛び出し、その神経が支配する部分の皮膚に帯状の皮疹(ひしん)が出現します。これが帯状疱疹という病気です。
◇帯状疱疹の嫌なところ〔その1〕
発症すると痛くて不快、たまに重大な合併症も起こす
通常、帯状疱疹は死に至るような病気ではありませんが、人によっては症状が軽い場合もあれば痛みが強くて日常生活に支障をきたす場合もあります。飲み薬だけで1・2週間程度で治りますが、皮疹の部分に細菌が二次感染して症状が長引くこともあります。また、稀(まれ)に脳炎や髄膜炎(ずいまくえん)、肺炎や難聴など、さまざまな神経合併症を起こすこともあるため、とにかく発症を予防したい病気です。
◇帯状疱疹の嫌なところ〔その2〕
皮疹が消えても、痛みだけ残る場合がある
帯状疱疹を発症した人の1・2割で、皮疹が消えても痛みだけ残ることがあり、帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。特効薬はなく、その他の神経痛にも使われる内服薬で治療しますが、中には年単位の経過をたどる人もいます。つまり、帯状疱疹はとにかく発症を予防したい病気なのです。
◇帯状疱疹の嫌なところ〔その3〕
他人に水痘を発症させるリスクがある
帯状疱の病変がすべて痂皮(かひ)化するまでは周囲に飛沫(ひまつ)感染させる可能性があるため、服やガーゼなどで患部を覆っておく必要があります。もし周囲に水痘の抗体を持っていない人(例:水痘ワクチンを接種する月齢に達していない赤ちゃんなど)がいたら、その人が水痘を発症してしまうリスクがあります。しつこいですが、帯状疱疹はとにかく発症を予防したい病気なのです。
■帯状疱疹ワクチン接種の検討を
このように厄介な帯状疱疹ですが、幸いなことにワクチンがあります。接種することで帯状疱疹の発症はもとより、もし帯状疱疹を発症してしまっても帯状疱疹後神経痛の発症リスクを下げることが示されています。
今年4月から、伊勢市でも帯状疱疹ワクチンの助成が始まりました。対象は50歳以上の全ての人です。興味を持った皆さんは、ぜひ自身のかかりつけ医相談してみてください。
過去の「広報いせ」掲載分は、市のホームページでいつでもご覧になれます。
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