■コミュニティのあり方を問い直す時期
地域づくり代表者会議 会長 時枝民生さん
現在の地域づくり組織ができた20年ほど前は、関西で働いていて定年を迎えるような人が大勢いました。これまで名張の地域づくりは、「定年後は地域に貢献しよう」という人たちに支えられてきたのです。
183もの区や自治会を15地域にまとめ、数々の補助金を一括交付金化し、地域ビジョンの策定、公民館の「市民センター化」と、長い間、住民と市が話し合いを続けて現在の姿ができてきました。「住民主体」を支えてきた先輩たちのおかげで、「行政に頼り過ぎずに、自分たちで一生懸命やっていく」ことが定着してきたんだろうと思います。
最大の課題は、高齢化が進み、地域の担い手不足が顕著になってきたこと。今後は、地域同士の広域連携も必要とされていくでしょう。そうした中、区や自治会単位では「役員になるんだったら加入しない」という流れも生まれつつあります。「そのような活動なら、してもらわなくてもよい」と、必要とされる活動の範囲が縮小しているのかもしれません。
隣近所の助け合いが特に求められるのは、防災など安全に関すること、そして、増加傾向にあるひとり暮らし高齢者の見守りであると考えます。ただし、人口が減少し、年齢構成も変わってきた中、地域の課題解決に向けて、行政や住民は何をすべきか、どのように連携していくのか、また、コミュニティのあり方・作り方について、改めて問い直していく時期に来ているのではないでしょうか。
■若者が地域に関わるためのポイント
将来、地域で活動する際に「久しぶり」と言い合える関係をつくっておきたいと思い、1年かけて青年部を発足。その中で、若い人に地域へ関わりを持ってもらうために大切なことは何かを考えました。
まずは、やる気のある人を見つけること。手あたり次第声をかけても難しいので、自分自身と既につながっている人の範囲で声をかけてみて。私の場合は、消防団のメンバーでした。そして、活動の意義や将来像を言語化することなども重要です。
地域では、若者が点在して活動していますが、線にして面にすることで、地域がもっと盛り上がるはず。かといって、新たに若い担い手が出てきたら、あれこれ頼りにしてしまいがち。「どんなことをしたいか」を確認して応援するスタンスがいいのではないかと思います。
川西・梅が丘地域づくり協議会 青年部代表 数本(すもと)優さん
(学会の分科会「新たな担い手の確保に向けた取組」で登壇)
■名張市の「目指す10年後の姿」
総合計画「なばり新時代戦略」基本構想より
変化をおこし 活力あふれ
みんなでつくる 大好きなまち なばり
社会をはじめ、様々なことは時代とともに変化しています。そういった変化に対応することはもちろんのこと、これからは、市民自らが変化をおこすこと、挑戦することを目指します。そうすることで、活力あふれるまちをつくり、みんなでつくるまちは、大好きなまちになっている。名張が大好きなひとたちであふれる。
そして、名張に愛着を持ち、まちの将来に主体的に関わる協力者で更にまちに活気があふれる。10年後にそのような名張市を目指します。
総合計画は、将来どのようなまちにしていくのかの道しるべであり、まちづくりの基本となる計画です。
■地域づくり組織が歩んできた4つのステージ
◇第1ステージ 交付金化
「名張市ゆめづくり地域交付金の交付に関する条例」を制定(平成15年)
➡小学校圏域に1つずつの包括的住民自治組織「地域づくり組織」を設置し、各種補助金を「ゆめづくり地域交付金」として一本化。ハード・ソフトを問わず使い道は自由で、特色ある地域づくり組織の活動を支援
◇第2ステージ 組織見直し
昭和30年代から始まった「区長制度」を廃止(平成21年)
➡地域づくり組織条例を制定し、区・自治会である「基礎的コミュニティ」と、それを包含する小学校区を単位とする「地域づくり組織」に整理
▽区長制度
「行政事務委託料」
「区長会運営等委託料」
↓廃止
▽地域づくり組織 会長 15地域
▽基礎的コミュニティ 区長 自治会長 183カ所
◇第3ステージ 地域ビジョン策定
➡15地域が個性ある将来のまちづくりのための基本方針、将来像、それに基づく実施計画を策定(平成24年に全地域で策定)。市の総合計画の地域別計画にも位置付け
◇第4ステージ 市民センター化
➡公民館を市民センターに統一し、生涯学習機能に地域づくり活動、地域福祉活動の拠点としての機能を追加(平成28年)
問合せ:協働のまちづくり推進室
【電話】63-7484
<この記事についてアンケートにご協力ください。>