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自治体の皆さまへ

守り、活(い)かし、次代へ 私たちのまちの文化財(2)

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三重県四日市市

■関連文化財群と文化財保存活用区域の設定
効果的な文化財の保存と活用のため、各地区に残る歴史文化を整理し事象を集め、本市の歴史文化の特徴をまとめました。それをもとに、6つの関連文化財群と、2つの文化財保存活用区域を設定しています。

●関連文化財群
▽(1)東海湖由来の湿地の植物
市内の丘陵地には600万年前から100万年前まで存在した東海湖(東海湖盆)に由来する湿地が多くあります。湿地には東海地方の固有種が多数生育しています。

▽(2)古代史の舞台 久留倍官衙遺跡と朝明郡
古代の四日市は、北部は朝明郡、南部は三重郡に属していました。久留倍官衙遺跡は、朝明郡の役所の遺跡であり、壬申の乱や聖武天皇東国行幸に関わる古代史の舞台ともなりました。

▽(3)中世の城跡 北勢四十八家と赤堀三家
中世、この地方は北勢四十八家といわれる土豪達が群雄割拠し、市内には約40カ所の城館がありました。中でも赤堀三家は赤堀・浜田・羽津に城を築き、北勢地方で勢力を張ったと語られています。

▽(4)近世東海道と四日市宿
江戸時代、四日市宿は東海道の43番目の宿場となり、人・物の往来が活発でした。また、富田は立場(たてば)(※)、日永は間(あい)の宿(しゅく)としてにぎわいました。日永の追分は伊勢への参宮道との分岐点でした。

▽(5)産業都市四日市の礎となった近代産業
幕末より、四郷地区をはじめとして本市では近代産業が盛んとなり、四日市港の発展や鉄道の整備による輸送力の増強に伴い近代化が進み、産業都市となりました。

▽(6)勇祭!鯨船行事
北勢地方に現存する陸上の模擬捕鯨行事です。鯨を豊饒(ほうじょう)の象徴とみなし、これを仕留める演技を行うことによって、大漁や豊饒を祈願するこの地域に伝承する行事です。

※旅人などが休息する茶屋のこと

●文化財保存活用区域
▽(1)近代産業発祥の地 四郷の歴史文化
区域内には関連文化財群5「産業都市四日市の礎となった近代産業」の関連文化財が集中しています。また、伊勢安国寺に由来の寺社や仏像、大念仏などの祭礼行事もあります。地区北側の小高い丘陵地は風致地区に指定され、自然と街並みが一体となった景観を形成しています。

▽(2)漁師町の歴史文化 富田、富洲原
区域内に富田、富洲原の漁師町の街並みが残っています。また、関連文化財群6「勇祭!鯨船行事」に含まれ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている鳥出神社の鯨船行事があるほか、石取祭やけんか祭りなどの祭礼行事、アミカンなどの国登録有形文化財(建造物)があります。

※地図など詳細は、本紙またはPDF版5ページをご覧ください。

●本市の文化財の特徴と可能性
1996年の文化財保護法の改正で、既存の指定文化財に加え、登録文化財という制度ができました。これは、緩やかな規制の中で活用しながら守る文化財のあり方を制度化したものです。改正後は着実にその数を増やし、市民にとって文化財が身近な存在になりました。地域計画は、この流れをさらに促進しようというものです。
地域計画の検討では、まず未指定・未登録の文化財も含めてどの地区にどんな宝物が眠っているのか調査しました。四日市は古くからの歴史文化が蓄積し、県内で最も産業が発展したことで、末広橋梁や潮吹き防波堤などユニークな近代化遺産が厚い層を作っています。そして、近代化の過程で建設された土木構造物や工場、産業の発展に貢献した人々の邸宅が数多く残っています。今回の地域計画では、関連文化財群として「(5)産業都市四日市の礎となった近代産業」が盛り込まれ、それが集積した四郷は文化財保存活用区域になりました。豊かな自然と古くからの歴史文化、そして近代化遺産という四日市の特徴がよく反映された地域計画になっています。
これを受けて、三重大学も市と共同で富田や四郷、東海道沿いで歴史的建造物などの調査を開始しました。地域計画策定をきっかけとして、より多くの注目が四日市に集まることを期待しています。

地域計画策定協議会委員 三重大学工学研究科
准教授 大井隆弘さん

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