デジタル推進の取り組みを行っている桑名市。市民の利便性向上や業務効率化に向けて、今年から「書かないワンストップ窓口」「レルクリア導入」をスタートしています。
今月号は、その取り組みの全容や、DXによってめざす未来について紹介します。
■誰も取り残さない、持続可能なまちづくりのために
スマートシティ推進課 田端(たばた)さん
令和3年に「デジタルファースト宣言」を掲げ、「市民サービス」「まちづくり」「行政運営」においてDX推進に取り組んでいます。大切なのは、「誰ひとり取り残さない」ということ。年齢や障害の有無、性別、国籍、経済的な理由などにかかわらず、デジタル化の恩恵を広く行き渡らせていきます。
《書かないワンストップ窓口》
▽1回の受付で、ライフイベントに伴う各種手続きが可能に
市庁舎1階のレイアウトが変わったことに気づいた人はいらっしゃいますか?
実は、今年の1月から「書かないワンストップ窓口」をスタートしているんです。これは、引っ越しや戸籍の届け出などライフイベントに伴って発生する各種手続きを、1カ所で受付・案内できるようにする仕組みです。
例えば、市外から転入してきたとき、来庁者はまず転入届を記入して戸籍・住民登録課で手続きをしますが、国民健康保険や介護保険、児童手当などの手続きが必要な場合はそれぞれ保険年金室、介護高齢課、子ども未来課で手続きをしなければなりません。事前に行った「窓口体験調査」で、4人家族の転入手続きにどれくらいの時間がかかるのかを調べたところ、2時間30分以上の時間がかかり、市民にとって大きな負担になっていることが判明。サービスや手続きに必要なものや方法が分かりにくい、待ち時間が長く終了予定時間が分からない、手続きが複雑で何度も行ったり来たりする必要があるなど、さまざまな問題点が浮き彫りになりました。
そこで、顧客目線でわかりやすいレイアウトへの変更と、これまでのアナログ前提の業務手順を一から見直すことにより、スムーズかつ効率的にデータ処理ができるように窓口業務を再構築しました。また、窓口業務支援システムを導入することにより、来庁者が署名するだけの申請書がプリントアウトされ、受付可能な手続きをもれなく判定できるようになりました。必要な手続きをリストアップしてくれるので、「案内漏れ」がなくなり、現在は約160の手続きを受付・案内できるようになっています。今後もブラッシュアップを続け、取扱い手続きの拡充をめざしていきます。
・何回も書かない
・あちこち行かない
・説明は1回
▽ワンストップが可能なライフイベントと手続き
手続き:国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療、介護保険、児童手当、子ども医療など
ライフイベント:転入、転出、世帯変更、出生、死亡、婚姻、離婚
●教えてくれたのは
戸籍・住民登録課 藤堂(とうどう)さん
《レルクリアの導入》
▽音声が文字となって、透明ディスプレイに表示
一般的に、耳が聞こえないまたは、聞こえにくい人とコミュニケーションを取る際には、手話や身振り、唇の動きを読み取る口話、筆談などを使います。ですが、手話は「使える人が少ない」、口話は「マスクをしていると唇の動きが見えない」、筆談は「複雑な内容や長い会話には適さず、書く人にも読む人にも負担がかかる上に文字を見ながら相手の表情を見ることができず、時間もかかる」といったデメリットがあります。特別な準備が不要で、聞こえる人が行政サービスを受ける時と同じようにコミュニケーションを取れたら…という思いから、ガラスのように透明な液晶ディスプレイ「レルクリア」を障害福祉課の窓口に導入しました。
レルクリアは、音声テキスト化アプリをインストールしたタブレットと接続して使用します。音声を聞き取ったタブレットが文字に起こし、レルクリアで表示。両面に文字が表示され、ガラスのような透明度があるため、職員は相手の表情を見ながら話すことができます。裏側からも確認できるため、アプリでうまく変換されない時は言い直したり、言い換えたりできます。
さらに、市で導入している音声テキスト化アプリには翻訳機能も搭載されているため、外国人とのコミュニケーションも可能です。聞こえ方や言語など意思疎通の壁をなくし、誰にでも丁寧でわかりやすい行政サービスを届けていきます。
▽これまでのコミュニケーション方法
手話:手話を使える職員が少なく、手話通訳者が不在の時は、会話が円滑にできない
筆記:複雑な内容や長い会話になると時間がかかり、相手の表情を同時に見ることができない
●教えてくれたのは
障害福祉課 加藤(かとう)さん
問合せ:この記事については秘書広報課
(【電話】24-1492【FAX】24-1119)
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