■堂山古墳群
堂山古墳群は、安濃地域を流れる安濃川の支流である美濃屋川左岸の、通称「堂山」と呼ばれた標高30mほどの丘陵上にある、2基から成る古墳群です。現在、付近一帯は清水ヶ丘団地となっていて、当時の面影はありません。
宅地造成に伴い、昭和48(1973)年に当時の安濃村教育委員会が三重大学歴史研究会の協力を得て、1号墳を発掘調査しました。また、前方後円墳と考えられる2号墳は、1号墳の地形測量時に発見され、団地内の緑地として現在も保存されています。
1号墳は、当初、円墳と考えられていましたが、四辺のうち三辺が直線的であり、三方のコーナーが明瞭であることから、調査を経て、方墳と判断されました。規模は一辺13~14m、高さ1~2.5mです。埋葬施設は、奈良県にある石舞台(いしぶたい)古墳のような横穴式石室ではなく、古墳の頂部に穴を掘って直接木製の棺を納めた「木棺直葬(もっかんじきそう)」で、玉類や須恵器の坏(つき)、提瓶(ていへい)・高坏(たかつき)、埴輪(はにわ)などが出土しました。このうち須恵器は、古墳時代中期(5世紀)に朝鮮半島から伝わった技術で焼かれた土器です。窖窯(あながま)と呼ばれる地下式や半地下式の登り窯が用いられ、千度以上の高温で焼成されました。埴輪は写真にある円筒埴輪のほか、形象埴輪と呼ばれる家形埴輪の鰹木(かつおぎ)や人物埴輪の腕の破片も出土しています。これらの出土遺物から、古墳の築造時期は6世紀前半頃と考えられています。
また、2号墳は全長30.7m、口縁径21m、前方部幅16m、前方部長9.7m、高さ1.7mの前方後円墳と推定されています。なお、1号墳の調査では弥生土器も出土しており、周辺に弥生時代の遺構があった可能性も考えられています。
今回紹介した堂山1号墳の出土遺物の一部は、現在、津市埋蔵文化財センターで展示しています。この機会に一度来館してみてはいかがでしょうか。
□津市埋蔵文化財センター
開館時間:8時30分~17時15分
問い合わせ:同センター
【電話】229-0210
※画像など詳しくは本紙をご覧ください。
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