■子どもたちの姿や言葉を通して~子どもを取り巻く一人の人として~
非認知能力という言葉をご存じですか。人間の能力は、大きく認知能力と非認知能力の2種類に分けられます。読み、書き、計算などのさまざまな知識の習得など、点数で数値化できるのが認知能力です。一方、自尊心や自己肯定感、物事をやり抜く力、協調性など、明確な数値で表したり、測ったりすることができないのが非認知能力です。
子どもたちが生きるこれからの社会は人々の価値観がますます多様化する中、お互いを尊重し、協働して生きていくことが求められます。このような社会を生き抜いていくためには、想定外のことに対応できる能力、不思議を感じる感性、失敗しても立ち直ることができる力、そして、従来の方法では解決できなかった問題を、新しい視点から捉え、分析し、解決していく能力など、非認知能力についても育成していくことが大切であると考えています。
これらの非認知能力は、生涯を通して育まれますが、とりわけ、就学前の段階、いわゆる乳幼児期により発達すると言われています。乳幼児期からその能力を育むためには、家庭や園・学校および地域の中で、子どもを取り巻く大人一人一人が、温かいまなざしや愛情のシャワーをたくさん注ぐことが必要です。市教育委員会では、子どもを取り巻く大人一人一人が大切にしたいことについて具体例を紹介し、子どもたちの成長に主体的に関わり、ともに子どもたちの未来を拓いていきたいという願いを込め、リーフレット「子どもの未来をともに拓く」を作成しました。
今回のあけぼので紹介する人たちは、子どもたちとの出会いを通して自分自身を振り返り、子どもや人と関わっていく上で大切にしたいことに気付き、考え、自らの生き方につなげていこうとしています。
私たち大人が子どもにかける言葉や関わりが、子どもの自己肯定感や人権感覚を育んでいくことにつながります。子どもを取り巻く一人の「人」として、「私」の子どもにかける言葉、「私」の子どもへの関わりなど、自分自身のことを振り返るきっかけになればと思います。
■人権コラム 子どもの自己肯定感を高めるために
自己肯定感とはありのままの自分を肯定する感覚、自分のことを好きだと思える感覚のことを言います。心理学的知見では、自己肯定感が高いと他者からの評価や自分の置かれた環境などに関わらず、自分を受け入れ、自信を持つことができます。また、周囲の人のことも認めることができます。さらに、勉強や部活動などにも意欲的に取り組むことができる傾向にあります。一方で、自己肯定感が低いと自分に自信がないため、他人と自分を比べて劣等感を抱いたり、他者を排除・攻撃したり、失敗を恐れて物事に積極的に取り組めないなどの傾向が強くなります。
このように自己肯定感は、自分や他者を大切にする気持ちの礎となるものであり、子どもの人権感覚を養う上でとても大切なものです。こうした子どもの自己肯定感は周囲の大人との関わりによって育まれていきます。
例えば、子どもの気持ちに寄り添って話を聞くこともその一つです。子どもの考えや意見を尊重し、自主性を大切にすることで、子どもは自分が認められていると感じます。また、成功や失敗に関わらず、挑戦に対する頑張りを褒めることで、子どもはどんな時にも受け入れてもらえるという安心感を得ることができ、自分自身を受け入れやすくなります。
全ての子どもたちがありのままの自分を肯定し、自分や他者を大切にできる子どもを育めるように、今一度、子どもへの関わり方を振り返り、学校や家庭、地域が共に子どもの成長を支えていけるような社会をつくっていきましょう。
第37号
令和6年7月16日発行
問合せ:教委人権教育課
【電話】229-3253【FAX】229-3017
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