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鳥羽・海藻文化革命 岩尾博士の海藻博物記 vol.35

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三重県鳥羽市

■無節サンゴモの話
無節(むせつ)サンゴモは、紅藻のサンゴモ目の海藻であり、普通はくすんだ薄いピンク色から紅色のような色をしている。形は石や岩肌などにピンク色のペンキでも塗ったような二次元的な感じで、枝や葉のようなものはない。細胞の内外に炭酸カルシウムを沈着することにより石灰化して固くなるため、石灰藻(せっかいそう)とも呼ばれる。体に節があり、普通の小さな海藻の見た目をした有節サンゴモと呼ばれる仲間もいる。
無節サンゴモはいくつもある種類の総称であり、クサノカキ、イボオコシ、クボミイシゴロモ、ヒライボ、ソウハン、イボモカサ、アナアキイシモ、モクゴロモ、トゲイボ、モカサ、ウミサビなどが三重県でも見られそうな種類である。ソウハンやモクゴロモ、モカサは海藻やアマモなど海草の表面についているのをたやすく目にすることでき、てんぐさ採集をしたことがある人などは、これが表面にたくさんついていると引き取ってくれないことがあるため、木槌などでたたいたりして掃除した経験があるのではないだろうか。ただし、はっきりと種同定するなら石灰分を融かして、顕微鏡観察や遺伝子解析する必要があり、その場でどの種かを自信をもって判断しにくいため、海藻植生調査などではっきりと記載されることがないことも多い。
藻場が減衰する「磯焼け」の海域ではこの無節サンゴモが優占して生えており、荒涼とした景観を一段と際立たせていることもあり、ネガティブな先入観を持って話す藻場再生関係者もいるが、サンゴモが磯焼けを引き起こしているわけではないので、僕は顔に出さない程度にムッとすることはある。

問合せ:水産研究所
【電話】25-3316

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