■文化財×芸術の連携による試み
三坂神社墳墓群から出土した朱の土をイメージしたアート作品などを展示した《ECHO(エコー)あしたの畑ー丹後・城崎「丹(に)」》を10月7日から11月26日まで、市立丹後古代の里資料館で開催しました。
これは、市教育委員会がNPO法人TOMORROW(トゥモロー)と共催した企画展で、デザイナーの前田征紀(まえだゆきのり)氏(AAWAA/COSMIC(コズミック)WONDER(ワンダー))が同墳墓群から出土した朱の土に着想を得て制作したアート作品(衣)をメインに、出土した土器などを交え、古代と現代をつなぐ一つの世界観を創作したもの。
大宮町三坂にある三坂神社墳墓群は、1991年(平成3)から2年かけて発掘調査が行われ、弥生時代後期に造られた6基の台状墓(だいじょうぼ)が発見された遺跡。中でも、最も大きな墓穴である3号墓第10主体部がこの墳墓群の盟主の墓と考えられており、素環頭鉄刀(そかんとうてっとう)・鉄鏃(てつぞく)などの鉄製品や、水晶玉・ガラス玉を用いた頭飾りの副葬品とともに多量の赤色顔料「丹」※が撒かれた状態で見つかりました。また、葬送儀礼(そうそうぎれい)に当たって行われた「墓壙内破砕土器供献(ぼこうないはさいどききょうけん)(棺周辺を埋めた上で、破砕した土器片を置く儀礼行為)」に伴う土器も多く出土しています。
今回の企画展では、この赤色顔料「丹」が撒かれた土と墓壙内破砕土器供献の世界観を、現代芸術により空間的に表現する試みが展示室を使って行われました。文化財分野と芸術分野が連携した今回の試みは、資料館として新たなチャレンジであり、展示を見に来た来館者からは「斬新な企画展で驚いた」「赤がすごく印象的で素敵だった」などの感想が聞かれました。
※「丹(に)」は、赤色顔料として用いられてきた辰砂(しんしゃ)の古代における呼び名
問合せ:文化財保存活用課
【電話】0772-69-0640
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