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自治体の皆さまへ

《特集》大学を身近に感じて 多彩な学び・交流がいっぱい(3)

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京都府京田辺市

■大学に研究委託 まちの課題解決に向けて大学のチカラを
市は、地域課題の解決・地域資源の掘り起こしにつなげるために、幅広い大学の研究者に委託研究を行う「大学連携地域貢献研究事業」を行っています。今年度、研究に取り組んでいる皆さんに話を伺いました。

◆〔研究テーマ〕こども食堂を拠点としたインクルーシブ・コミュニティの創造
同志社女子大学 現代社会学部 現代こども学科 准教授 新谷龍太朗さん(47)
「休日は、自宅近くの淀川沿いをランニングしたり、スーパー銭湯でゆっくり過ごしたりしています。」

◇こども食堂に関わろうと思ったきっかけは
令和4年度京田辺市市民満足度調査において、「子育て」「教育」「コミュニティ活動・交流」が他の分野に比べて相対的に評価が低かったことを、まちの課題と捉えました。私は以前、高槻市内の大学で勤務していましたが、そこで学生と一緒に取り組んだ「こども食堂」を活用することで、課題解決が図れるのではと考えました。

◇取り組んだ研究内容は
まず始めに、市内に複数あるこども食堂や、フードドライブに携わる人、府社会福祉協議会へのヒアリングを通じて現状把握を行いました。そして、草内地域にあるコミュニティカフェを借りて、こども食堂を6月にオープンしました。こども・若者・高齢者といった多世代が気軽に交流できる場を目指し、毎月1回程度のペースで開いています。
初回は、小学生と高齢者が一緒にカードゲームやクレープ作りを楽しんだり、秋の収穫を夢見てサツマイモの苗を植えたりしました。双方が教え合う姿もあり、活発な世代間交流が生まれていました。

◇苦労していることは
広報活動の難しさを感じています。イベント化して各地から多くの人が押し寄せてくると、「行きづらい」と感じる子も出てくると思います。研究テーマに掲げている「インクルーシブ」は、「さまざまな背景を持つあらゆる人が排除されないこと」を意味するので、そこは確実に押さえる必要があることから、校区内の小学校にチラシを置かせてもらうなど、地域に限定した周知を行っています。

◇課題と感じることは
企業から食材を提供してもらうことがありますが、こども食堂が必要としているものと必ずしも一致する訳ではないので、両者のマッチングは課題と感じています。また、生鮮食品を保存できる冷蔵庫があれば運営の幅が広がるのですが、交付されている補助金は充てられないこともあり、悩ましく感じています。

◇今後の展望は
こども食堂は、小学校区ごとにある姿が理想だと考えています。まずは、普及拡大につながるモデルを作り、その後、こども食堂のネットワーク化を進め、互いに情報共有できる仕組みを構築したいです。また、小・中学校、福祉事務所などと連携して、支援が必要なこどもや保護者へ出張サポート(アウトリーチ)を行っていきたいと考えています。

◆〔研究テーマ〕京田辺市の緑農ネットワークを活用したコスト・タイム・スペースパフォーマンス特産品づくりと持続可能な地域ブランド形成
摂南大学 農学部 応用生物科学科 特任助教 沼本穂さん(41)
「休日は、図書館やお酒のイベントに参加しています。」
摂南大学 国際学部 国際学科 特任講師 小林基さん(33)
「趣味はカラオケで、「京田辺市の歌」を練習しています。」

クラフトビールとマコモタケの栽培・販売を通じて、耕作放棄地の解消や地域活性化につなぐ仕組みを研究する沼本さんに話を伺いました。同氏の研究は、広報紙での大学連携特集において3年連続の紹介となり、今回、大きな節目を迎えました。

◇ビール作りについて、この1年の活動を教えてください
大住地域の耕作放棄地で、農福観地域づくり協議会や市民・学生ボランティアの皆さんと一緒に、京田辺ゆかりの大麦品種「ゴールデンメロン」の栽培を昨年に引き続き行いました。そして、普賢寺地域で栽培したホップと合わせて、大阪市内の醸造所に依頼して500本のビールを製造しました。また、今回新たな取り組みとして、資金調達のためのクラウドファンディングを行い、目標額の60万円を達成しました。事業に賛同し寄付してくれた人は、市民や以前の住民など、京田辺に関わりがある人が多く、郷土愛の深さを感じました。
そして、7月には念願のビールまつりの開催にこぎ着けました。ビール販売会社の協力のもと、用意した150本のビールは1時間程度で完売し、来場者からは「来年もやってほしい」「味はフルーティーでさっぱりしている」と好評でした。

◇マコモタケ作りについてはいかがですか
株間を広げてトラクターで除草ができるようにしたことで、作業負担が軽減できました。収穫物は、同志社大学の学生が運営する南部まちづくりセンター内のカフェでカレーの具に採用してもらいました。「煮込んでも潰れず食感が楽しめる」「おいしい」と好評です。また、市内の農家の方に株分けして、今秋の収穫に向けて栽培に協力してもらっています。

◇今後の展望は
原産地である中国からアジアに広がっていったマコモタケを、同国の研究グループと共同で遺伝子レベルの解析を行うことで、日本の気候・風土に合った最適な栽培法を探っています。

◇最後に一言
大麦作りの参加者を募集しています。特産づくりや、健康・生きがいづくり、人との出会いに興味のある人は、ぜひ、参加してください。詳しくは、京都ゴールデンメロン倶楽部インスタグラム(本紙の二次元コード参照)を確認してください。

問合せ先:市民参画課
【電話】64-1314

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