■その症状、実はドライアイかも
よしかわ眼科医院 吉川大和医師
涙は微生物を流したりして目の表面を保護したり、滑らかにしたりして光が目の中に入るようにする役割があります。ドライアイは涙の量が減ったり、涙が目の表面にうまく乗らなくなったりして様々な症状が出る疾患です。
オフィスワーカーを対象におこなわれたドライアイ専門医による疫学調査(Osaka study)では、男性の60.1%、女性の76.5%(全体の約65%)が現在の診断基準でいうドライアイであったことが報告されています。
ドライアイは、目の乾燥感や異物感という症状が出ることはイメージしやすいですが、見え方に影響することもあります。目の中に入る光が不安定になって見え方が落ちたり、それを合わせるために目が過度に頑張ってしまい、疲労感や重さを感じたりすることがあります(いわゆる眼精疲労)。また、目が乾くと目は反射の涙を出します(反射性流涙)。風が吹いたり、長時間何かを見たりすると涙が出る症状は、実は逆にドライアイからくることがあります。そのほか涙の分泌が落ちて眼脂が出やすくなったり、傷ができたところで光が乱反射してまぶしくなったりすることもあります。ドライアイはこのように多彩な症状をきたす疾患です。
ドライアイの要因は様々ありますが、加齢で涙液が少なくなる傾向にあります。また生活習慣にもドライアイになりやすい要因があります。代表的なものに「3つのコン」と呼ばれるものがあります。すなわちエアコン、パソコン、コンタクトです。エアコンによる低湿度や低温も悪化の原因になりますし、送風を直接受けるような環境もよくないです。パソコン作業が長くなると瞬きの回数が減りドライアイになる頻度が高くなります。コンタクトは近年ドライアイに適したものも出てきていますが、基本的にはレンズの表面と裏側に涙を分けてしまい、ドライアイが悪化することが多いです。
最近は結膜から水分の分泌を促す点眼や瞼と目の表面の擦れを減らすような点眼も処方薬では出てきており、市販の点眼では難しいドライアイも改善するようになってきていますので、目の症状でお困りの方は眼科に受診してみるのもよいかもしれません。
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