■フレアス 訪れる母親たち
中総合会館(余部下)の5階にある男女共同参画センター「フレアス舞鶴」。毎週水・金曜日にオープンする「一時預かり」を利用するため、子どもを抱えた女性たちが託児ルームを訪れます。ある母親は保育士に子どもを託すと、かばんから資格試験の参考書を取り出し、フロア内の静かな一室へ。真剣な表情で約1時間30分、机に向かいました。
■一時預かり 自分の時間を
「一時預かり」は令和4年6月、親たちに、安心して子どもを預け、自分の時間を持ってもらおうと始まり、今年度は1月末までに約450件の利用がありました。保護者が就労しているかどうかにかかわらず、生後4か月~就学前の子どもを預けることができ、利用者は、施設内の自習スペースで資格試験の勉強をしたり、友人との会話を楽しんだりと、自分のための時間を思い思いに過ごすことができます。
■キャリアのため 講座開催
フレアス舞鶴ではこのほか、働きたい女性たちの就職やキャリア形成を後押しするための講座も実施しています。今年度は、面接で好印象を持ってもらえるためのメイクアップ講座や、将来かかるお金について考えるマネープラン講座などに加え、ネットを活用して商品・サービスを売り出す手法などを学ぶ「デジタルマーケティング講座」を開催。受講生10人が、オンラインと対面での授業を通じて、デジタル分野への学びを深めました。
■社会で活躍 後押しを
一時預かりの利用者や講座の受講者のなかには、配偶者の転勤や子育て・介護などの家庭の事情でいったんキャリアを断念していた人が、資格試験の勉強に打ち込み、次の仕事につながった例もあります。市ではこれからも、より多くの人にフレアス舞鶴を利用してもらい、誰もが社会に参加し、自分らしく活躍するための後押しができるよう、取り組みを進めていきます。
■「一時預かり」をぜひご利用ください
開設日:毎週水・金曜日
9時30分~11時
11時15分~12時45分
対象:生後4か月~就学前
定員:最大6人程度
利用要件:原則、保護者は「フレアス舞鶴」内で活動などを行うこと
料金:子ども1人につき1回300円
申し込み方法:利用する前週の平日9~16時に電話でフレアス舞鶴【電話】65-0055へ。空き状況は、インスタグラムでも確認可。
※二次元コードは本紙またはPDF版をご覧下さい。
■フレアス舞鶴利用者の声
◇Interview 01 資格合格 一時預かりのおかげ 牧野 仁美 さん
特許や商標などの知的財産を扱う職業である「弁理士」を目指し、昨年11月に3度目の挑戦で最終合格をつかみ取りました。現在は、弁理士として登録されるための実務修習を受けており、終了後の今年4月から、東京都内の法律特許事務所でリモート勤務することになっています。
体調を崩した両親を世話するために府北部へUターンしたあと、長男の出産を機に、当時勤務していた医薬品メーカーを退職しました。子育てがひと段落したら弁理士として働きたいと思い、育児や介護の合間を縫って勉強していましたが、自宅で集中して勉強するのは難しく、行き詰まりを感じていました。
そんな時、知り合いからフレアス舞鶴での一時預かりについて教わったのが、大きな転機になりました。昨年4月から通いはじめ、子どもを預けているあいだ、論文試験の対策をしたり、模試を解いたりして、集中して勉強することができました。
また、子育て中の仲間に出会えることも、大きな励みになりました。自宅で育児や介護、勉強に追われると、孤独感に襲われ、気持ちが落ち込んでしまうこともあります。それでも、フレアス舞鶴に来て人と関わることで、気持ちを前向きに切り替えることができました。
合格が決まった時は、その喜びよりも「これ以上、家族に迷惑をかけなくて済む」という安心感が勝りました。市内には、私と同じように、育児や介護、家事に追われて、悩みを抱え込んでいる人もいると思います。まずは、一歩外へ踏み出すきっかけに、フレアス舞鶴を利用してもらいたいです。
◇Interview 02 デジタル講座 将来像見えた 奥川 ちはるさん
海上保安官の夫の転勤で、2年前に市内へ引っ越してきました。長男と双子姉妹の子育てに追われ、慌ただしい毎日を過ごしていましたが、結婚前には写真館のスタッフとして働いていたこともあり、社会に取り残されているような焦りがありました。「何かスキルを身に付けておきたい」と考えていた頃、フレアス舞鶴で開催される「デジタルマーケティング講座」を知りました。今後求められるスキルが習得できると感じ、受講料も予備校などに比べると安かったこともあり、申し込みを決めました。
実際に受けてみると、想像以上に内容が濃く、実践的でした。講座では毎回、前回の授業内容の要約レポートの提出が求められ、確認テストも行われます。5か月間で対面授業も含めて約175時間の受講が必要で、復習もしなければいけないので、ついていくのに必死でした。
それでも乗り越えられたのは、一緒に受講した仲間たちや、夫がそばにいてくれたおかげです。双子の妊娠・出産であまり外出できず、友人が少なかったのですが、講座をきっかけに交友関係が広がったのも大きな収穫でした。また、頑張っている私の姿を見て、夫が家事・育児により積極的になってくれたうえ、職場がテレワーク勤務に理解があったので、共に支えあって、何とか乗り切ることができました。
今年は、市内の貸衣装店やアパレル会社でのインターンシップに参加する予定です。講座に参加することで、自分が将来やりたいことがはっきりしてきました。これからはその目標に向かって、突き進んでいきたいです。
担当:人権啓発推進課
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