現在、中学校では少子化による生徒数の減少により、部員数が不足し休部となったり、大会への参加に苦労したりと学校単位での部活動の実施が難しいという課題に直面しています。
将来にわたり、子ども達が希望するスポーツ・文化芸術活動を楽しむことができる機会を確保していくため、舞鶴市では令和3年度から、中学校の部活動を地域主体の活動へ移行するためのさまざまな取り組みを始めています。
地域主体の活動は「地域クラブ活動」と呼ばれ、学校の部活動と区別されており、地域の指導者や保護者、教員など多くの人の協力を得て行われています。
今回は、休日の部活動を地域へ移行する実証事業に参加している生徒と指導者の声とともに、これまでの取り組みについて紹介します。
■部活動の地域移行って?
「地域移行」という言葉になじみのない人も多いはず。舞鶴市をはじめ、数多くの自治体で地域移行を議論する委員会の委員を務める立命館大学スポーツ健康科学部の長積仁教授(スポーツマネジメント)に教えてもらいました。
Q1 地域移行とは何ですか?
A 学校で行っている部活動を地域と連携しながら実施することで、生涯にわたって文化・スポーツ活動に親しむことができるように国全体で取り組んでいるものです。自治体によっては、既に休日の部活動を完全に地域の指導者や団体が担っているところもあります。この取り組みで重要なのは、中学生をはじめ、子どもから大人までが文化・スポーツ活動に親しむことができる協力体制と仕組みを作ることです。
Q2 地域移行のメリットは?
A 中学校単位で実施してきた部活動を、地域が協力し、主体となり、運営することによって、学校の垣根を越えた活動の実施や多世代の交流が生まれます。複数の活動に参加したり、地域の指導者から専門的なアドバイスを受けたりするなど、子ども達の多様なニーズに対応することができます。また、学校・家庭・地域が一体となって、地域の子ども達の成長を見守る機会にもつながります。
Q3 地域移行を進める上での課題は?
A どの地域でも、指導者の確保や活動場所への移動手段、費用負担が課題となります。行政が、指導者の謝金やスクールバスの活用を支援している事例はありますが、いつまでも行政頼みは現実的ではありません。他県では、人材バンクの登録や保護者による乗り合いの送迎、また企業の寄付金やふるさと納税の活用など、さまざまな工夫が試みられています。
Q4 地域移行に期待することは?
学齢期に縛られず、学校・家庭・地域が協力し、一体となった文化・スポーツ活動の推進体制を築くことは、多くの大人が子ども達の成長にかかわる機会を生み出します。その結果、地域の教育力の向上や「子どもを大切にするまち」というイメージが醸成されます。またこの取り組みは、地域に開かれた学校づくりや教員のワークライフバランスの推進にもつながります。
■INTERVIEW 地域クラブってどう?
実際に地域クラブ活動の実証事業に参加した中学生と指導者に、感想を聞きました。
◇「指導 学び深まる」
昨年は部員が5人と少なく、練習内容が限られていました。令和3年度から地域クラブに携わり、小学生や他校の生徒たちなど、たくさん集まってくれて、練習内容の幅が広がりました。剣道の地域クラブには指導者が7人いるので、初心者や学年などでグループ分けをしても指導者が複数つくことができ、レベルに合わせた適切な指導ができます。一人ひとりの意識や競技力の向上にもつながっていると感じています。
城北中教員 剣道部顧問 地域クラブ指導者
堀毛孝之さん
◇「練習の幅広げ 技術磨く」
中学から柔道を始めました。学校の部活動だけでは練習量が足りず、もっと技術を身に付けたいと思い、地域クラブに参加しています。地域クラブには、指導者がたくさんおられるので、いろんな視点でアドバイスをもらえるのが良いところです。学校の部活では限られた人としか練習ができませんが、地域クラブでは他校の人とも練習することができ、自分に足りないものが見つかり、良い技術を学べています。地域クラブで身に付けた技術を生かし、昨年初戦で負けてしまった大会で1勝したいです。
柔道に参加した 城北中2年 重村心彩(ここあ)さん
担当:学校教育課、スポーツ振興課、文化振興課
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