■史跡大川内鍋島窯跡調査事業〜日峯社下窯跡(にっぽうしゃしたかまあと)の調査成果(7)〜
日峯社下窯跡の物原(ものはら)(失敗品の廃棄場所)から出土した初期の鍋島焼の破片と同じ伝世品(でんせいひん)があります。伝世品とは作られた時代から受け継がれて、現在もそのまま残っているもののことで、江戸時代の焼き物にも伝世品として残っているものがあります。
伝世品だけでは、その製品がどこで焼かれたのかはっきりとしませんが、窯跡を調査して同じ文様の破片が出土すると、その窯跡で焼かれた可能性が高くなります。特に初期の鍋島焼は特徴があるので日峯社下窯跡から出土した陶片と同じ文様の伝世品は、ほぼ日峯社下窯で焼成されていたと考えられます。【写真(1)】の破片は、意図的に小さく割られて捨てられているため、破片からは、どのような皿だったのか、まったくわかりません。しかし、破片の模様から【写真(2)】の皿の地模様(じもよう)の一部であることが分かります。
窯跡の調査では出土した遺物だけではなく、現在残っている伝世品と比べることが必要です。
※写真は、本紙をご覧ください。
問合先:生涯学習課文化財係
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