■専門家に聞く『成年後見制度』と『家族信託』
Q.成年後見制度とは
A.認知症などで判断能力が低下・喪失した人の財産管理や、介護保険の契約(施設入所の契約)など、生活の管理をする身上監護を後見人が支援する制度です。この制度には、家庭裁判所が後見人を選ぶ『法定後見制度』と、本人が事前に後見人を選ぶ『任意後見制度』があります。なお、自宅の賃貸や売却、解体などを行う場合には、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
Q.家族信託とは
A.家族などに財産の管理・運用・処分を託す制度です。それによって得られる利益は委託した人だけでなく、ほかの人が受け取るように設定することができます。自宅の賃貸や売却の契約、解体などの手続きを行うことができます。
Q.制度のメリットは
A.どちらの制度も財産管理が可能なので、入院費などの本人に関する支出は管理している口座から支払うことが可能です。加えて、成年後見制度の法定後見制度は、判断能力が不十分になったあとでも親族などから申立が可能です。
Q.制度のデメリットは
A.成年後見制度は、制度の開始から終了(死亡など)まで、成年後見人や監督人に、司法書士などの職業後見人が就任した場合は、毎月報酬を支払う必要があります。
家族信託は、家族などが財産を管理するので使い込みなどのトラブルになる可能性があります。その対策として司法書士などの監督人を設定することができますが、その場合は毎月報酬を支払う必要があります。また、判断能力が不十分になったあとでは契約できません。
Q.どのような人に有効か
A.運用する資産(賃貸物件など)がない人の場合は、成年後見制度の任意後見制度の利用だけで対応できることがあります。運用する資産がある人の場合は、家族の判断で財産の運用・処分が可能な家族信託が有効です。
Q.利用するための費用はどれくらいかかるのか
A.成年後見制度の場合は、初期費用は10万円前後ですが、後見人や監督人に支払う月額報酬として、制度の開始から終了(死亡など)まで毎月1~5万円かかります。
家族信託の場合は、登記費用などの諸経費以外に、30~100万円ほど費用がかかりますが、継続的な支払いは原則不要です。
■実家に帰ろう住宅改修等補助金
将来的な空き家化の予防と移住定住を促進するため、市内に実家がある市外在住者が実家に転入する場合に、実家の改修や解体、新築工事などにかかる費用の一部を補助しています。
利用する場合は、事前に申し込んでください。
なお、ここでいう実家とは、市外在住者または、市外在住者の2親等以内の親族が市内に所有する住宅のことです。
▽対象者
・市に実家がある69歳以下の市外在住者(市に転入後、5年を経過しない人を含む)
・市の実家の所有者(市外在住者の2親等以内の親族)
※ほかにも、要件があります。
▽支給額
・改修する場合…工事費の1/2(上限額50万円)
※必ず、市内の施工業者が改修を担当する必要があります。
・解体・新築する場合…解体工事費の1/2(上限額100万円)および新築補助金30万円
※市外の施工業者が担当した場合は、解体補助金の上限額が80万円、新築補助金は20万円になります。
▽加算額
・子育て加算…30万円/1人(18歳未満)
・地域指定加算…20万円
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