◆「春は…かんざき」
弥生三月、暖かくて優しい日差しの下でつくしが顔を出し、春霞の空にはヒバリの声…
小高い丘の上から見る景色は、菜の花の黄色、蓮華草のピンク、麦の緑…丘の畑には白梅に紅梅、桃の花…
この桃源郷のような風景は、子どもの頃の記憶の中にある私の原風景です。
春は…かんざき
脊振から千代田に向かって変化する標高差が、少しずつ違う景色を見せてくれる神埼ですが、近年は温暖化で以前より春の訪れがずいぶん早くなりました。
三月中旬、開花した宝珠寺の桜の後を追うように仁比山公園や日の隈公園、さらに千代田の次郎の森公園の桜が見頃を迎えます。どこに行っても桜色の景色は三月下旬…まさに春爛漫の神埼となります。
幸せの桜色も素敵ですが、神埼には美しい春の白い花があります。
脊振山に自生するコブシの真っ白い花は三月下旬、周りの緑の中にひときわ映える高木です。
長崎街道沿いの大圓寺のヒトツバタゴも四月上旬には咲き始めます。別名ナンジャモンジャという白い花は近づくと甘くてやわらかな香りが漂っています。
城原川の菜の花ロードはその昔ほど連なってはいませんが、それでも群生している場所があり、中でも神埼橋から南に延びる東岸には白いナズナの群生が出現します。白と黄色の菜の花ロードは以前はなかった風景です。
そして脊振のシャクナゲの見頃は高取山公園から始まり、標高を上げて久保山の浄徳寺へとつながっていきます。
春は…かんざき、たまには日常を忘れてゆっくりのんびり、空を見上げ、前を見つめて神埼を旅してみませんか。
文化財観光案内専門員
執行 真知子
<この記事についてアンケートにご協力ください。>