◆『海外研修を体験して』
・教育長 末次 利明
今は、春真っ盛りです。木々が芽吹き、小鳥たちがさえずる季節になりました。花壇には、色とりどりのチューリップやパンジーが、道ばたや空き地には、ハコベやナズナ、ホトケノザなどの春草も、かわいらしい花を咲かせています。
学校では新年度が始まり、新入生が入ってくることを楽しみにしています。進学や進級をして期待と不安の中、新しい学校生活を心待ちにしている子どもたちも多いと思います。
さて、今回は私が24年前に経験した『海外研修』について書かせていただきます。訪問先は、ベルギーとルクセンブルク、フランス、メキシコ、アメリカでした。
まず、ベルギーやルクセンブルクでは、語学教育について学びました。日本は島国ですが、陸続きのヨーロッパでは多くの言語、例えば英語やフランス語、ドイツ語、イタリア語などを話せないと生活する事が大変であるということでした。行きたい大学にも行けないし、仕事としても言葉が通じないと困ることが多いということでした。また、学習した言語については、学校でいろいろな国の人が一緒に学習しており、すぐに実践できるから身につくのも早いということでした。
次にメキシコでは、その当時『一つの校舎に二つの学校』が存在していました。例えば、午前中はA小学校、午後はB小学校というようになっていました。先生は、午前と午後で入れ替わるわけです。さらに驚いたことに当時の子どもたちは、学校に来ないときにはペンキ屋さんのお手伝いをしたり、路上で物を売ったり、車が止まると窓を拭かせてもらってお金をもらうなどの仕事をしている子が多いと言われていました。生活のために働いている子が多かったようです。働く親を助けるために家事を手伝う、教育費や生活費を稼ぐために働く、本来は大人が担う役割をしなければならないというのは、近年日本でも問題になっているヤングケアラーと通じる点があるのではないでしょうか。
日本と外国では、社会情勢や経済状況、教育環境などの違いで、子どもへの教育方針や教育制度などが異なるところも多いです。しかし、日本でも海外でも『学校教育』は、今を生きる子どもたちにとって、現実の社会との関わりの中で、毎日の生活を築き上げていく場であり、未来の社会に向けた準備段階としての場であるとともに、子どもたちにとって必要な資質・能力を育成していく場でもあると言えます。
子どもたちには、誰でも素晴らしい能力があります。私たちは、子どもたちの良いところを認め、励まし、しっかり伸ばしてあげることが大切だと思います。
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