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診療所だより

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佐賀県神埼市

◆住民健診について
皆さんは住民健診を受けられていますか。住民健診の目的は病気を早期に発見することです。今回は、戻ってくる健診のデータを見る際に、知っておくべきことについて説明します。
検査値には基準値や正常範囲があります。一般にそれから外れていると異常と判断されます。ところが基準値や正常値というものは世界で一律に決まっているものではなく、厳しいものから緩やかなものまであります。住民健診では特に正常値上限が非常に低く設定されています(異常判定が出やすくなっています)。そのことを知らないで戻って来た健診データを見ると、基準値から外れた項目が多くて心配になる人が多いかもしれません。
そこで、住民健診の基準値と医師会共通基準値とを比べてみましょう。この2つにはかなり大きな違いがあります。特にその傾向が顕著な項目があります。それはコレステロール値と糖尿病についての基準値です。
(1)悪玉コレステロールとされているLDL―コレス
テロールの正常基準値:
・住民健診の基準値…61~119
・医師会共通基準値…65~163
(2)糖尿病についての正常基準値
・住民健診の血糖基準値(空腹時)70~99、HbA1c 4.6~5.5
・医師会共通の血糖基準値(空腹時)70~109、HbA1c 4.9~6.0
上記のように、2つの基準値を比べると、住民健診の上限値が医師会共通基準値のそれよりかなり低くなっていますね。成人ではLDL―コレステロールの119はむしろ平均的です。119を上限とすると約2~3人に一人ぐらいはコレステロールが高いと判定されます。同じくHbA1cにつても同じことが言えます。
なぜ住民健診ではこのように厳しい基準値が設定されているのでしょうか。理由は、受診者に病的傾向(まだ病的ではない早めの段階)を指摘することにより、病気の予防につなげてほしいという健診らしい目的があるからです。半面、受診者側の身になると、自分は脂質異常症があるようだとか、糖尿病になっているようだと不安になるでしょう。
最後に血圧について付け加えます。住民健診では血圧(収縮期)が130を超えると高いと判定されます。そもそも血圧ほど変動しやすいものはないといっていいほど常に変動しています。時と場合によっては、血圧が130を超えることは誰でもあります。普段の環境とは異なる健診会場などで血圧を測ると、130超える人は非常に多いと思われます。特に緊張症の人はびっくりするほど高くなります。そもそも1~2回の血圧測定で高血圧症の判定はすべきではないです。健診のレポートに血圧が高いと書かれていても、驚かないでください。そのような場合は、家庭で血圧をしばらくの間測ってください。日頃から家庭などリラックスできる所で血圧を測定し、自分の普段の平均的血圧を知っておくことが大切です。そうすれば健診で誤って高血圧症と判定されるのを防げるでしょう。ちなみに日本での高血圧症の基準は家庭血圧が135/85以上とされています。
なお、血圧計はドラッグストアや家電量販店で売られています。
国民健康保険脊振診療所 牛島 幸雄

問い合わせ:診療所
〒842-0201 神埼市脊振町広滝555番地1
【電話】59-2321

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