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歴史探訪 シリーズまちかど文化財

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兵庫県丹波市

■織姫と彦星の彫刻
丹波市文化財保護審議会委員 山内順子

写真は、氷上町賀茂の賀茂神社の本殿正面上方にある彫刻です。左側に機織(はたお)りをする織姫、右側に牛を牽(ひ)く彦星の彫刻があります。これにはかつて、鮮やかな色がついていたようですが、現在は色褪(あ)せてしまい、元々の色を確認することができません。『丹波市の歴史的建造物3.』には、延享(えんきょう)4年(1747年)に棟上(むねあ)げされた事を示す札(ふだ)の写真が残り、現存の本殿は18世紀後期のものであると記されています。このことから、彫刻も同時期に造られたものと推測すると約280年前のものになります。
江戸時代に書かれた『丹波志』には、当社は京都の上賀茂神社を勧請(かんじょう)したと記されています。勧請とは、神さまに来ていただいて、お祀(まつ)りすることです。その神さまが賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)で、当社本殿には雷を表現した彫刻もあります。ちょうど織姫と彦星が彫られている反対側に付けられています。また、同書には「境内に池があり蛇池という。石に龍をかたどって作り込んだ石の蓋ふたがある。旱魃(かんばつ)の際には雨乞いのためにその蓋を取るとたちまち雨が降るという。」と書いてあり、現在は龍をかたどった石の蓋はありませんが蛇石(へびいし)神社として大切に祀られています。
一方、織姫や彦星にとって、ようやく会える七夕の日に雨は降ってほしくないはずです。しかし、降雨を願う蛇石神社と、晴れを願う織姫と彦星の彫刻がある賀茂神社が同じ敷地内にあるのは不思議な気もしますが、おそらく、雨天も晴天も続き過ぎると害になるので、バランスが大切ということなのでしょうか。
今年の七夕には星空を見上げるだけでなく、織姫と彦星の彫刻を見に行くというのも素敵です。
※写真は本紙をご確認ください。

問合せ:社会教育・文化財課(山南庁舎内)
【電話】70-0819

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