◆モデル地域から学ぶ
獣害対策のススメ
仁方集落と県、町がともに取り組み、一定の効果が確認できた獣害対策。そこで得られた有効な対策をぜひ実践してみてください。
01 草刈りを適切に行う
草が電気柵に触れてしまうと漏電して効果がなくなり、動物に「ここは安全だ」と悪い学習をさせてしまいます。草刈りを適切に行うことで「ここは危ない場所だ」と学習させましょう。
02 電気柵は高さが重要
シカやイノシシは電気柵の下に穴を掘って農地に進入します。適切な電気柵の高さは、下の3段は20センチ、その上の4段目は30センチと言われています。
仁方集落の取り組みでは、この高さを確認するために、適切な高さにテープを巻いた棒を「佐用棒」と名付けました。
03 動物に効く電圧を
電圧は5000ボルト以上にしてください。乾電池式の電源は、気付かないうちに電圧が下がるので要注意です。おすすめは、ソーラー式やバッテリー式の電源です。
04 山際の獣害柵の点検
山際に設置している獣害柵は、いつの間にか壊れていたり、動物によって破られたりしていることがあります。特に、稲が穂をつけ始めるお盆前後に点検し、破損している場合は、直ちに修復してください。
05 箱わなで有害獣を捕獲
被害を減らすには、有害獣を捕獲することで大きな効果が期待できます。集落単位で有害獣の捕獲を希望する場合は、農林振興課で箱わなの貸出を行っています。
●Message
・ドローンを使った 全国的にも先進的な獣害対策
JUAVACドローンエキスパートアカデミー兵庫校は、旧江川小学校の跡地を活用していることから、ドローンを用いた防災や獣害対策を地元自治会や町と一緒に取り組んでいます。
今年度からは、猟友会のみなさんとドローンを使った狩猟に取り組んでおり、実際に捕獲することができました。これは全国的にも先進的な取り組みです。今後も猟友会や町と協力をしながら知見を深め、猟師が安全に猟ができる環境を作り、町内の獣害が少しでも減るお手伝いができればと思っています。
(JUAVAC ドローンエキスパートアカデミー 兵庫校 中田 耀介(ようすけ)さん(豊福))
仁方での取り組みはどうでしたか?
・次世代のための獣害対策に
仁方集落では、個人ではなく集落全体で獣害対策に取り組めたことが成果につながっていると思っています。
担い手が不足している農業で、今までのようにせっかく実った農産物が獣に食べられてしまうような地域では、次に農業をしてみたいという若者は育ちません。今できる対策を進めて、次世代につなげる取り組みになればと願っています。
(孝橋 祥伸(よしのぶ)さん(仁方))
・こまめな点検が結果に結びつく
祖父から受け継いだ田んぼで、周りの人に支えられながらお米を作っています。
勉強会で電気柵の高さや点検の頻度の大切さを学び、意識的に点検の頻度を増やしました。その結果、昨年は獣害が激減し、収穫量が増え、水稲共済のお世話にならずにすみました。
おかげで、自分で作った「いちばんおいしいお米」が食べられています。
(岡本 漠(ばく)さん(仁方))
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