文字サイズ
自治体の皆さまへ

特集:1600年前の加古川が分かる⁉知ってる?行者塚(ぎょうじゃづか)古墳(1)

2/56

兵庫県加古川市

※この記事に関連したSDGs項目は、4番

山手2丁目の住宅街の中にある、木々に囲まれた丘。これが、日本中の古墳好きが注目する貴重なものであることを皆さんは知っていますか?発掘調査から30年経った今でも成果が話題に上がるほど、さまざまな情報が詰まった古墳なのです。

市内最大級!全長なんと100m!
東播磨を代表する偉い人のお墓!?
古墳好きには超有名!
国内最古級の金銅製帯金具が出土
特殊な形状にも注目が!

■行者塚古墳(西条古墳群)
昭和48(1973)年国史跡に指定。
場所:加古川市山手2丁目
アクセス:
・JR加古川線神野駅から徒歩20分
・神姫バス山手2丁目バス停下車徒歩4分
・北山公園から徒歩3分

■ここがポイント! 行者塚古墳
立地・形・出土品などを見ながら、行者塚古墳を一つずつひもといていきましょう。

Navigator:文化財調査研究センター 学芸員 古林さん

◇丘の上から見守る偉大な王の墓
市には約300基もの古墳があります。代表的なものは古墳時代前期の日岡山古墳群、後期の平荘湖古墳群、そして行者塚古墳がある中期の西条古墳群です。西条古墳群は、5世紀の初めに川が近く見晴らしの良い台地の上に造られました。今も残る3基(行者塚・人塚・尼塚古墳)はこの地域の王だった人物の墓で、丘から見下ろせる地域を支配していたと考えられています。中でも行者塚古墳は最初に造られたとされています。

古墳は当時の社会の様子を教えてくれる大切な手がかりです。

[現存する主な古墳]
平荘湖古墳群
日岡山古墳群
西条古墳群

くわしい分布図は総合文化センター博物館で見られます。

CHECK 加古川に古墳が多いのはなぜ?
加古川は県内最大の河川。物資を運んだり稲作に利用したりと、川は昔の人々にとってとても重要でした。地域の豪族は川を上手く利用して力を付け、川の近くに次々と権力者の証しとして立派な古墳を築いていったのです。

◇4つの突起が愛らしい唯一無二のフォルムに注目!
行者塚古墳は、鍵穴のような形をした前方後円墳で、全長約100m。古墳本体から飛び出ている四角い形は「造り出し」と呼ばれています。普通は前方部の脇に2つ付きますが、行者塚古墳には造り出しが4つもあり、とても珍しい独特な形をしています。

王が個性をアピールするための工夫だったのかも知れません。

CHECK 古墳時代って?
行者塚古墳が造られた5世紀は、畿内を拠点としたヤマト王権が国を動かす躍動の時代でした。地方の豪族たちは、地位により「前方後円墳」「円墳」など特定の形の古墳を作る権利が与えられました。

[主な古墳の形]
大きい方が権力が強いとされています。
前方後円墳/行者塚古墳
前方後方墳
帆立貝形古墳/人塚古墳・尼塚古墳
円墳
方墳

◇権力者ほど多く並ぶ円筒形の「埴輪(はにわ)」
発掘調査では大量の円筒埴輪が古墳を巡るように出土しました。その数は全体で2,100本以上だったと想定できます。権力を持った人物ほど豪華な埴輪を数多く用意できるため、多種多量の埴輪が並べられた行者塚古墳の王は、当時の播磨でもかなりの権力者だったと考えられます。

CHECK そもそも「埴輪(はにわ)」って何?
古墳の上に並べられた焼き物のこと。
円筒(えんとう)埴輪…筒形のもの。大量に並べて墓を守る結界をつくる。
形象(けいしょう)埴輪…人や動物、家などを表したもの。王を祭る儀式の様子を再現するときに使われた。

◇美しい龍が施された大陸との外交の証し
発掘調査では、墳丘の頂上できらびやかな副葬品※がたくさん出土しました。副葬品は2カ所で見つかり、木箱に納められていたと考えられます。最も注目を集める帯金具(ベルト金具)は、金メッキで龍の透かし彫りや繊細な文様があしらわれ、日本では2例しか見つかっていません。これは中国大陸で作られた輸入品で、行者塚古墳に埋葬された人物は、ヤマト王権と関係を持ちながら、大陸との外交も行っていたと考えられています。

※副葬品…埋葬された王の持ち物や権威を誇るための物。

◇貴重な鉄製品が大量出土!
副葬品には、刀や鎌、おのなどのさまざまな鉄製品もありました。製鉄技術が進んでいなかった当時の日本では、鉄自体が貴重でした。鉄鋌(てつてい)という鉄製品の素材となる延べ板は木箱の中に40枚も納められていました。朝鮮半島や大陸との交流を示す重要な品物が行者塚古墳から出土したのです。

鉄製の農工具により生産性が高まりました。

◇ステージ上に当時の儀式を再現!?
西側の造り出しでは小さな土製品がたくさん出土しました。これらは、造り出しのステージ上で、家形の埴輪の前に置かれたと考えられています。古墳時代に人々が行っていた祭祀(さいし)※をこの場所で再現したようです。小さな出土品は古墳時代の祭祀を知る重要な手がかりです。

※祭祀…祖先を祭る儀式。

◇何の形に見える?出土品クイズにチャレンジ!
出土した小さな土製品は、どれも食べ物だと考えられています。実際の祭祀では本物を器に盛り、供え物として王に捧げていたと推測されます。それぞれ何を表していると思いますか?良く分かっていない形もありますが、古墳時代の人々が食べていたと考えると想像が膨らみますね。
※詳細は本紙またはPDF版をご覧下さい。

答え
1.魚
2.餅
3.アケビ
4.魚の切り身・タケノコなど

鳥やヒシの実などもあります。

問い合わせ:文化財調査研究センター
【電話】423-4088

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU