禁煙したいのにできない、禁煙してほしいのにしてもらえないなど、タバコに関する悩みはありませんか。タバコは身体に悪いといいますが、なぜ禁煙した方が良いのか、タバコのあれこれについて紹介します。
■タバコは百害あって一利なし!?
タバコの煙には、ニコチン、タール、一酸化炭素など、約200種類の有害物質や約70種類の発がん性物質が含まれており、全身のさまざまながんのリスクを上昇させます。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの呼吸器疾患の原因になるほか、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患、2型糖尿病、歯周病など、多くの病気と関係しています。
さらに、女性の場合、喫煙による妊娠出産への影響として、不妊や早産、低出生体重児、前置胎盤などがあります。また、妊娠中の喫煙は、出生後の乳児が突然亡くなってしまう乳幼児突然死症候群の要因となることが判明しています。
■受動喫煙について
喫煙者がフィルターを通して吸う煙を主流煙、タバコの火が付いた部分から立ち昇る煙を副流煙、喫煙者が吐き出す煙を呼出煙といいます。そして、非喫煙者が周囲のタバコの副流煙や呼出煙を吸うことを受動喫煙といいます。全ての銘柄において、副流煙の方が主流煙より有害物質を多く含んでいます。
受動喫煙は、肺がんや虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群の4つの疾患との関連が認められているほか、妊婦の場合は胎児の発育に影響を及ぼします。
■加熱式タバコなら大丈夫?
近年、紙巻タバコより喫煙者および周囲の人への影響や臭いが少ないという理由で、たばこ葉やその加工品を電気的に加熱し、発生させたニコチンを吸入する加熱式タバコを使用している人が多くいます。
加熱式タバコの主流煙は、ニコチン以外の有害物質が少ないという報告もありますが、多くの種類の有害物質が含まれているのも事実です。また、販売開始からの年月が浅いため、長期使用による健康への影響は明らかになっておらず、喫煙者と受動喫煙者の健康に悪影響を及ぼす可能性は否定できないと考えられています。
■ニコチンの依存性は麻薬と同等!?
タバコの煙に含まれるニコチンには依存性があり、これは麻薬と同じくらい高いといわれています。禁煙できないのは本人の意思の弱さではなく、ニコチン依存症という病気のためです。喫煙により体内にニコチンが取り込まれると、脳にドパミンという快楽物質が放出され、気持ち良くなります。そのうち、同量のニコチンを摂取しても、徐々にドパミンが放出されにくくなり、タバコの本数が増えていくとともに、ニコチンが切れるとイライラし、ストレスを感じるようになります。
◇こんな症状があったらニコチン依存症かも
・自分が吸うつもりの本数よりもたくさん吸ってしまう
・喫煙できない仕事や付き合いを避けたことがある
・禁煙や本数を減らしたとき、喫煙したくてたまらなくなった
・本数を減らしたとき、イライラする、憂鬱になる、頭痛がするなどの症状があった
・病気で身体がつらくても、喫煙してしまったことがある
■禁煙治療について
喫煙者は禁煙することで、本人と周囲の人の健康を守ることができ、金銭的な余裕も生まれます。しかし、禁煙を決意しても成功しなかった経験を持つ人が多いのではないでしょうか。毎年、喫煙者の約3分の1が禁煙を試みますが、ほとんどの人が自力で行っているため、1年以上の禁煙に成功する人は1~3%であるという報告もあります。
禁煙を始めて数日は、ニコチン切れのイライラやストレスなどの離脱症状が現れます。医療機関で禁煙治療を受けると、飲み薬や貼り薬を使って離脱症状を和らげることができ、70~80%の人が禁煙に成功するといわれています。いくつかの条件がありますが、禁煙治療は保険診療で受けることができます。加熱式タバコを使用している場合も同様です。まずは、かかりつけ医に相談してみましょう。
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