■歴史 旧平安邸から始まった郷土館
◆製錬業で財を成した平安家
郷土館は、多田銀銅山の銅の製錬を営んでいた平安家の邸宅(大正7~8年ごろに下財町に建造。下財は鉱山で働く坑夫の意味)と敷地を市が購入し、昭和63年に開館しました。多田銀銅山は平安時代後期に採掘開始。豊臣秀吉の経営下に入るなど、桃山~江戸時代前期に栄えました。
平安家は明治時代以降も製錬を行い、昭和10年ごろまで製錬所を操業。明治42年創立の猪名川水力電気(株)の発起人にも名を連ね、発電された電気は当時の東谷村・多田村の家庭に供給された他、製錬にも使われたと考えられます。
◆現在の郷土館に至るまで
平賀義美博士が大正8年に小戸に建てた洋風の旧平賀邸。阪神高速道路池田線の延伸で取り壊しの危機に陥った際、生かせる場所へ移そうと、平成2年に旧平安邸の敷地に移築・復元されました。
平成7年には、市ゆかりの日本画家の青木大乗画伯と洋画家の平通武男画伯の記念館として、ミューゼレスポアールを建設。その後、平成22年には花屋敷にあった平通画伯のアトリエを再現したアトリエ平通を建設し、今の郷土館になりました。
◇郷土館豆知識
化学者の平賀義美博士は教育にも熱心な人でした。博士が創立に関わり、初代校長を務めた関西商工学校(後の関西大倉中学校・高等学校)は、パナソニックグループ創設者の松下幸之助の出身校です。
郷土館概略図
※詳細は本紙をご覧ください。
■催し 郷土館まつり他
1年を通してイベントが行われている郷土館(原則入館料が必要)。詳しくは今後広報誌などでお知らせします。
◆今後の予定
◇郷土館まつり(入館料無料)
11月9日(土)実施。落語や和太鼓演奏、アカペラ、大正琴演奏、野菜・花の直売会、蓄音機コンサート、ワークショップ、飲食物販売など
◇小さな和の世界展
令和7年2~3月実施。ミニチュアのおひなさまや懐かしい昭和の店、街並みを12分の1のサイズで精巧に再現した「和風ドールハウス」を展示
◇灯(あか)り展
令和7年9~10月実施。着物の柄を使った幻想的な行燈(あんどん)や琥珀(こはく)色に光るかがり松細工など
◇日本の名刹(めいさつ)―木製建築模型展
令和7年9~10月実施。東寺の五重塔などを杉で内部まで精巧に再現した約10点を展示
◆和紙ちぎり絵 アサコテン
國廣アサ子さんの和紙ちぎり絵展。5年間首相官邸に飾られていた「雷神像」をはじめ、展覧会での受賞作品や仏像画、風景画、動物画など約20点を展示。詳しくは郷土館【電話】072-794-3354へ。
日時:10月12日(土)~12月14日(土)
場所:郷土館
費用:入館料
■こだわりの展示と風情のある静寂
市郷土館館長 丸山浩志
◇熱意で企画した作品展示
郷土館ではさまざまな催しを行っています。中でも企画展は歴代館長や職員が情報を集め、展示会に行き、交渉して実現したものがほとんどです。自分たちが感動した手作りの作品をぜひ見てほしいという思いで企画し、作家の方に協力いただきます。
来館された方の多くが素晴らしい作品に「感動しました」「来てよかったです」などと感想を寄せてくださるので、とてもうれしいですね。
◇来て初めて感じる魅力
郷土館には、静かでゆったりとした時間が流れています。作品や旧平安邸・旧平賀邸を含む風景が醸し出す風情を、実際に来て味わっていただきたいですね。建物の中に足を踏み入れると、大正時代にタイムスリップした感覚になるかもしれません。
そんな魅力もあり、映画やドラマのロケ地に何度も選ばれています。また、史跡巡りやハイキング、スケッチ、写真撮影に来られる方や団体さんもおられます。
◇これからも愛される場所に
催しに何度も来てくださる方や魅力を口コミで広げてくださる方、小学生の時に来てくれた後、おとなになって家族で来てくれた方もおられます。
お話ししていると、郷土館への思いが伝わってきて、とても温かい気持ちになるんです。これからも皆さんに愛される郷土館でありたいです。
問い合わせ:生涯学習課
【電話】072-740-1244
<この記事についてアンケートにご協力ください。>