市は令和6年4月に、6年度から13年度までを対象にした教育大綱を策定。市内の全中学校や特別支援学校で生徒と意見交換会を行うなど、さまざまな意見を集め、検討しながら策定しました。
今回は同大綱を策定した狙いを伝えるとともに、幅広い世代が良質な教育を受けられる、という同大綱の理念を実現するための施策を一部紹介します。
■川西市教育大綱
◆基本姿勢
教育について、次の三つの基本姿勢を定めました。(1)「公教育の役割として社会的公平性を確保するとともに、質の高い教育を実現する」(2)「主体的に学び続ける力をつける教育を実現する」(3)「社会に参画する人材を育てる」。これらに基づき、これからの教育の役割と施策を考えます。
○子育て・就学前教育保育
テーマは「すべての子どもたちに最良のスタートを」。
遊びを中心とした学びの支援、質の高い教育保育環境、インクルーシブ教育保育を提供します。インクルーシブ教育とは言語・人種・障がいの有無などに関わらず全ての子どもが共に学び育つ、共生社会の実現をめざす教育です。また、地域社会とともに子どもの健やかな成長を支える取り組みも行います。
○学校教育
テーマは「すべての子どもたちに充実した学び、育ちを」。
主体的に学び成長できる環境の充実、新たな部活動環境の構築などを目標に施策を行います。また、学校運営をみんなで考える体制づくり、子どもの学びや成長を支える教職員の育成も進めます。
○生涯学習
テーマは「すべての世代が楽しく学び、社会の担い手となり次世代に継承する環境を」。
ライフステージに応じた学習機会の提供や多世代交流、スポーツを通じた健康増進、川西らしさを感じられる文化・自然遺産の保存・継承などをめざした施策を行います。
(※同大綱の全文は本紙二次元コードからご覧ください。)
■自分ごととして考える教育のミライ
○なぜ今、教育大綱を策定するのか
教育大綱とは、市の教育の方向性を示す最も基本的な指針です。
市長と教育委員会が教育政策の方向性を共有し、足並みのそろった教育を行うための場である「総合教育会議」。平成27年の法改正で教育大綱を策定することが義務付けられると同時に設置されました。
市では法改正以降、総合計画に教育の計画を盛り込んできました。しかし、教育について中長期的な課題が多くあることや、これまで以上に現場で迅速な判断が求められることなどから、教育に関する方向性を明確にする必要があると考えました。そこで、令和6年度から総合計画とは別に教育大綱を策定することにしたのです。
○当事者の意見を大切に
教育は、当事者や関係者が多く、社会に与える影響が大きいもの。策定に当たっては、子どもはもちろん、保護者や学校関係者、地域住民、学識経験者など、さまざまな人の声を聞くことを大切にしてきました。
意見を取り入れるために、中学生や特別支援学校(高等部)の生徒、市民などを対象に「子どもの主体的な関わりに向けたアンケート」「市長・教育長・教育委員と生徒との意見交流会」「市長と語るかわにしMeeting(第1〜7回総合教育会議内)」などを実施。集まったさまざまな意見は聞いて終わりではなく、市からも質問をするなど、対話を心掛けました。
例えば、部活動について生徒から「時間が短い」という意見と「終了時間を自由にして外部の練習も認めてほしい」という異なる意見が出ました。
市は、部活動の時間は学校で決められること、みんなで話し合うことが重要であることを生徒に伝え、話し合った結果をまとめて提案してほしいと投げ掛けました。
○変わりゆく環境の中でより良い教育を
対話の中で子どもたちも、より質の高い教育やクラブ活動を望んでいることがうかがえました。こうした思いを大切に、自分の意見を表明して行動する主体性、さまざまな価値観や考えを理解して尊重する多様性、といった要素を踏まえて、教育大綱を策定しました。
市ではこれまでにも、電子黒板を導入したり、校内サポートルームに支援員を配置して教室に行きたくても行けない子どもの居場所を作ったりと教育環境を充実させるための施策を行ってきました。しかし、少子高齢化や教員の働き方改革など教育を取り巻く環境はさらに大きく変わっています。これらの問題は、教育委員会や学校現場の努力だけで解決することはできません。これからも保護者や地域の人の協力、何よりも児童・生徒一人一人が教育を自分ごととして捉えられるよう、市としてより良い教育の実現に向けた取り組みを進めていきます。
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