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野草散歩(165)

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兵庫県新温泉町

■クサボタン(キンポウゲ科)
クサボタン(草牡丹)はキンポウゲ科の多年草で、深山の林縁などに自生する日本の固有種です。開花は8月から9月ですが、暑い時期なので外出を控えている間に綺麗な花の適期をいつも逃してしまいます。秋になって出かけた時にはカイガラムシのような白いものがびっしりとくっついているので、顔をそむけてやり過ごすばかり、花図鑑に載っているような花弁が反り返った可愛い花姿を見たことはありませんでした。
そんな折、畑ヶ平林道で開花したばかりのうす紫のクサボタンに出逢いました。写真図鑑にあるような綺麗に反り返った花姿は撮れませんでしたが、有毒でもあるクサボタンは、鹿の食害を逃れ、辛うじて生き残ったようです。
クサボタンは草丈50~100cmで、葉はその名前の基となった牡丹の葉に似て長い葉柄を持った3出の複葉です。小葉は直径4~10cmの卵形で浅く3裂、先端は尖り、縁は荒い不揃いの鋸歯になっています。花は茎の先や葉の腋から枝を出してよく分枝し、多くの花を下向きにつけます。花は1.2~2cmでうす紫色ですが、花弁は無く、花弁と思われるのは萼(がく)で狭い鐘形をして、外側に反り返っています。果実(痩痩果(そうか))は球形の集合果で、センニンソウの種によく似た羽毛状で風に乗って飛んでいき、散布されます。また、株は雌雄異株で、どちらにも雄花と雌花があり、雄株の雌花は退化して小さくなっており、雌株の雄花は退化しているという点も特徴の一つです。
冬期、茎の上部は枯れますが、根元は木質化して残り、翌年の春、新たな芽を出して成長していきます。

文・写真 中澤博子さん

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