■「注目」のパラアスリートが「いま伝えたいこと」
◆大舞台への出場を控える注目の4選手にインタビュー。
市民の皆さんへのメッセージを伝えます。
Q1…大会への意気込み
Q2…共生社会に向けて、伝えたいこと
◇5月17日・20日出場 唐澤(からさわ)剣也(けんや) パリ2023世界パラ陸上金メダリスト
T11 男子1500m・500m
所属:SUBARU
10歳のときに網膜剥離(もうまくはくり)で失明。2016年、リオパラリンピックで選手の活躍を知り、本格的に競技をスタート。
(A1)清水琢馬さん(所属:(株)コイズミツール)とペア結成後、初の公式戦が大舞台
[唐澤選手]
終盤での抜いたり抜かれたりのデッドヒートなど、中長距離走ならではの駆け引きに着目してください。(清水選手)唐澤選手自ら、職場までガイドランナーのオファーをしにきてくれました。やり抜く力を買ってくれたと思うので、それを大会で証明したいです。
(A2)できることはありますか?の一声
[唐澤選手]
バスを待っていたら、声をかけてくれた学生がいました。実はその人は、その数年前に私が中学校の講演で言った「白杖の人がいたら、できることはありますか?と一声かけてあげてください」という話を覚えていて、実践してくれました。
◇5月17日出場 石田(いしだ)駆(かける) 東京2020パラリンピック5位入賞
T46 男子100m
所属:トヨタ自動車
高校総体で400mに出場。スポーツ推薦で大学に進学するも、入学直後に骨肉腫を患う。切断も考えられた中、陸上続行のために左肩に人工関節を入れ、再起を果たす。
(A1)パリにつながる大舞台で自己ベスト更新
[石田選手]
自国開催ということで、日本の多くの皆さんが注目してくれる場で走れることに今からワクワクしています。そんな大舞台で自己ベストを更新し、パリ2024パラリンピックでのメダル獲得につなげていきたいです。皆さんの応援が力になります、ぜひ現地で会いましょう。
(A2)見えにくい障がいの存在を知ってほしい
[石田選手]
いつもは通常の駐車スペースを使うのですが、やむをえず障がい者専用の方を利用した際に、通りがかりの人から「ここは障がい者専用だ」と言われたことがありました。私の障がいは外見では判別できないので、見えにくい障がいがあることも、知られていくといいなと思います。
◇5月21日・24日出場 北浦(きたうら)春香(はるか) 杭州(こうしゅう)2022アジアパラ競技大会 銀メダリスト
T34 女子100m・800
所属:インテージホールディングス
脳性まひにより、生まれつき両手足が不自由。中学時代に本格的な車いす陸上競技を始め、2012年、20歳のときにパラリンピック・ロンドン大会に出場。
(A1)感謝の気持ちを結果で示す
[北浦選手]
地元・兵庫での世界大会開催は、人生の中で二度とないチャンス。海外での大会は、友人や知人もなかなか観に来られなかったのですが、神戸だったらきっと来てくれると思います。「いつも支えてくれてありがとう」という感謝の気持ちを、胸を張れるような結果で示したいです。
(A2)「みんなのため」が「障がい者のため」に
[北浦選手]
海外のある地域ではワンタッチでバスにスロープが出て、電車に段差がないのが当たり前でした。障がい者だけが特別なのではなく、「みんなのため」を思う配慮が、結果的に障がい者にとっても暮らしやすくなるのだと思います。
◇5月24日出場 高橋(たかはし)俊也(しゅんや) パリ2023世界パラ陸上 8位入賞
F46 やり投げ
所属:トヨタ自動車
幼少期に患った脊髄炎(せきずいえん)により、右腕に障がいを負う。小学生から野球を始め、鳥取の名門・境高校時代は甲子園出場。日本福祉大学からのスカウトを機に陸上の世界へ。
(A1)チャレンジに年齢は関係ない
[高橋選手]
自分が持つ日本記録を1cm、1mmでもこの大会で更新したいと思っています。陸上を19歳で始めてから数年で国際大会で活躍できている姿を通して、何かを始めるとしても遅すぎることはない、という希望を皆さんに伝えたいです。やり投げは一番飛距離が出る競技。きれいな放物線をぜひスタンドから見ていてください。
(A2)バリアフリー社会には“人”が大切です
[高橋選手]
フリーがあると思います。例えば、車いすの人が段差に困っているとしたら、周りの人が手助けしてあげればいいんです。それこそが真のバリアフリー社会ではないでしょうか。
※クラス分けの見方
クラスは、競技種類(T…トラック競技、F…投てき競技)と数字の組み合わせで表します。
F…競技の種類
4…障がいの種類
6…障がいの態度
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